名誉、プライバシー

小説家Aは、B社の発行する雑誌に、C銀行に勤務するDをモデルにDの実名に近似した架空の名前を用い、あたかもDがC銀行の経理をごまかし、愛人Eと豪華な生活を送っているかのように書きたて、かつD、E間の性生活の細部を大胆に描写する小説を発表した。この小説は多少事実に合致する面もあるが、真実とは相違したものであり、名誉、プライバシーが害されたとして、DはAおよびBに対し損害賠償を請求しました。
その侵害の救済は、民法上いかなる構成により認められるのでしょうか。またモデル小説ということは、プライバシーの侵害の有無にどのように考慮されるでしょうか。
プライバシーの侵害があるとすると、Dは損害賠償のほか、いかなる請求をすることができるでしょうか。
C銀行は、名誉を傷つけられたとして慰謝料を請求できるでしょうか。この場合、小説がある程度事実に合致しているということは、どのように考慮されるでしょうか。

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プライバシーとは、プライベートの派生語で、公開をはばむような私事といった意味になります。社会の近代化、個人主義化は、多かれ少なかれ、そういう部分を各人に作り出し、これを暴露されないことは、共通の利益(社会的存在としての権利)となり、これを暴くことは、私財や身体に対する侵害と同様、反社会的(違法)と評価されるようになります。民法七〇九条の「権利」が、判定法に明記されているものに限らないことについては異論をみません。のみならず、判定法は、個人の尊厳をうたい、他人の住居ののぞき見を禁止し、相隣地の観望を制限し、信書開放を罪としており、これらは、プライバシーの権利を間接的に保障したものとみられ、したがって、その侵害者は、不法行為責任を負うことになります。
この東京地裁判決は、小説の内容が、真相はどうであれ、特定人の私生活上の事実として読まれるおそれがあり、一般人がその人の立場に立たされたとしても公開を欲しないような事柄であり、まだ人々に知られていないものであるときは、作品の芸術的価値にかかわりなく、プライバシー権の侵害となるとしており、この見解は、広い支持を受けています。
かつて判例は、工業所有権が侵害された場合、所有権その他の本権と同じに扱い、侵害の差止を認め、やがてそれは明文化されました。プライバシー侵害についても、損害賠償のほか、差止請求が認められます。
人に対する社会的評価を不法に低下させるのが名誉毀損で、その人の名誉感情が害されることは、要件ではないと解されています。したがって、法人についても名誉毀損成立の可能性があります。民法は、精神損害、慰謝料という言葉を使っておらず、その七一一条は、非財産的損害についても賠償すべきことを規定しているにとどまります。法人の名誉毀損を認める以上、慰謝料を非財産的損害の賠償費目と定義し、その請求を認めるべきです。銀行の内部規律に関する部分の合真実性は、名誉毀損の成否に影響します。ことに、その程度が高く、しかも、その主目的が、不正を摘示し、預金者らの利益を守ろうとする点にあると認められる場合は、違法性を阻却します。

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