自動車事故での不法行為2

Aの運転する車とBの運転する車が交差点で衝突し、Aは五〇万円、Bは一〇〇万円の被害を受けました。
AとBの過失の割合が八対二のとき、BはAにどれだけの損害賠償を請求できるでしょうか。
BがAに損害賠償を請求したところ、AはもともとBに対し貸金債権五〇万円をもっていたとして相殺を主張しました。認められるでしょうか。逆にBは相殺による五〇万円の債務の消滅を主張できるでしょうか。
AまたはBは、自己の有する損害賠償債権をもって、相手のそれとの相殺を主張できるでしょうか。
Aは雇主Cの所有する自動車をCに無断で持ち出して運転していました。BがCに損害賠償を請求するには、Bは何を主張、立証しなければならないでしょうか。損害が人身傷害の場合と物的損害の場合とで違いがあるでしょうか。
Aが衝突したのは、急に信号を無視して飛び出した歩行者Dへの接触をさけるためのハンドル操作の結果でした。BのAへの損害賠償請求は認められるでしょうか。またDに責任があるでしょうか。

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被害者の過失をどの程度斟酌するかは、裁判所の裁量に委ねられていますが、過失の割合に応じ斟酌した場合には、Bの請求は、八〇万円の限度で認容されることになります。
被害者の救済と不法行為の誘発を防ぐ目的で、不法行為、損害賠償債権を受働債権とする相殺は禁止されています。この文理を貫くなら、自働債権が、貸金債権であろうと、衝突事故から生じた損害賠償債権であろうと、相殺は許されない反面、あとの債権をもって貸金債権と相殺することは許されることになります。これに対し、衝突事救による損害賠償債権相互の相殺は、この立法目的を害しないとして、同乗の適用を否定する意見もあります。
人身侵害であれば、自動車損害賠償保障法三条本文所定の事項を主張すれば足ります。この場合、加害者が被告の所有に属することを証明すれば、「運行供用者」と推定され、加害当時、その地位を失っていたことは、被告側で主張、立証することになりますが、被用者の無断運転中の事故だというだけでは、抗弁事由としては不十分です。財産侵害の場合には、自賠法三条や、民法判定当時における危険責任を規定した同法七一八条の類推適用は公認されていません。このため被害者は、民法七一五条一項本文所定の事項を主張、立証することになりますが、ここでは、自賠法による場合と異なり、運転者の過失を主張し、その認定の基礎となる事実について立証責任を負うと解されています。
民事事件についても信頼の原則が適用されるべきかは問題ですが、不法行為責任の災害補償化は、企業対労働者、自動車保有者対歩行者といった互換性の乏しい社会関係を基軸に進展してきたのであり、自動車相互の衝突事故については、歩行者相互のそれと同じようにこの原則を適用してよいであろうし、これを是認した裁判例のほとんども、自動車相互の衝突事故のケースです。次に、歩行者Dは、いねば間接的加害者ですが、こうした者が責任を負うのは、原則として、その支配下にある者または危険物が直接に加害した場合に限られます。

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