不当利得

石炭販売業者Aの使用人Bは、A方より石炭を盗み出し、Cに二〇万円でこれを売却し、Cはこれを三〇万円で他人に転売しました。AはCに対し不当利得返還請求権を行使しました。
Cは「法律上ノ原因ナク」利得していることになるでしょうか。
Aの損失とCの利得との間に因果関係があるでしょうか。不当利得における因果関係をどのように解すべきでしょうか。
CがBより買いうけたとき善意、無過失であったら、CはAにいくら返還すべきでしょうか。
この場合、Cが転売代金三〇万円を他人に貸し利息をとっていたとき、Cはその利息をAに返さなければならないでしょうか。
Cが転売代金を生活費にあて、手許にそれが残っていないときCの返還義務はどうなるでしょうか。Cがそれをレジャー用の旅費にあてたときはどうでしょうか。
そしてCが悪意であったら、いくら返還すべきことになるのでしょうか。

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「法律上ノ原因ナク」とは、公平の観念に照らして、受益者がその利得を保有すべき実質的な理由を欠く場合と考えられます。Cが民法一九二条の要件を備えていないときは、これにあたり不当利得として返還しなければなりませんが、備えているときは即時取得となって、法律で権利の帰属が認められます。そこで、即時取得の趣旨を、善意取得者に利得を保有させようとするものとみるか、形式的に権利の帰属を認めるが実質的に利得の保有を認めるものではないとみるかによってわかれます。後者だと不当利得となります。
因果関係というのは、元来広がりをもって 存在するものです。そこで、ここでは、不当利得の成立という観点からみて、どこでチェックするかを考えなければなりません。判例は直接でなければならないとしますが、第三者が介在しても、この第三者の行為が一方で損失を他方で利得を生じさせているときは直接とみます。
利得者が善意の場合の返還は、損失者の損失を 最大限として、その利益の存する限度です。このため売却代金三〇万円が、その物の時価のときは、それが損失額ですが、利得者の手腕、努力によるときは、時価超過部分は、返還を必要としません。それとともに返還額を決めるためには、売却物を取得するために第三者に支払った買入代金を売却代金から控除できるかを考えなければなりません。判例は否定しています。しかし、利得があったかどうかは全体として捉えるべきであるため、取得者に過失なく法律上の原因ありと信じたための支出であるときは、控除を認められます。
他人に貸して利息として得ていた収益は、利得者の手腕、努力によるもので返還しなくてもかまいません。
生活費は、本来支出すべき自分の財産の減少を免れたことになるので消極的な現存とみて返還しなければなりません。レジャー用の旅費は、一般に浪費と同様なものとみられるから、その範囲では利益は現存せず返還しなくてもよい。
利得者が悪意のときは、損失者の全損害の範囲において返還しなければなりません。

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