事務管理

夫Aが家の財産をもち出しては遊興にふけるので、妻Bは財産の喪失を防ぐため、ひそかに夫Aの銀行預金をおろし、また夫所有の賃貸建物をCに売却し、それを資金にして土地を買い、B名義に登記しておきました。地価の急激な値上りのため、数年後にはこの土地は五倍の価格になっています。その後A、B夫婦は不和となり、ついに離婚するにいたりました。
AはBに対して、B名義の土地の所有権の確認および移転登記を請求します。これに対しBは、事務管理として行為をしたのであり、Aから受けた利益およびその利息は返還するが、値上りする土地を買ったのはBの判断、能力によるもので、土地を返還する必要はないといいます。Aの請求は認められるでしょうか。
AはCに対し、家屋の売買がBの無権代理により無効だとして、移転登記の抹消を請求しました。これに対しCは、Bが事務管理として売却したのだから、売買は有効だと主張しています。Aの抹消登記請求は認められるでしょうか。

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事務管理とは、義務なくして他人のためにその事務を処理する行為です。ただ、事務管理となるためには、本人の意思または利益に反することが明白でないという要件を備えていなければならなりません。妻Bが、夫Aの浪費を奇貨として、もっぱら自分の利益を図るためであった場合はこれに該当しません。この場合は、事務管理の効果としての違法性の阻却が認められないことから、不当利得か不法行為になると考え、利得返還か損害賠償によって処理することになると考えるのが普通です。しかし、この場合を準事務管理として、事務管理に関する規定を準用して、本人は管理者がこれらの行為によって得た利益の全部の引渡の請求ができるものと考える方がよいのではないでしょうか。ただ、その利益のうちに、管理者の特殊の才能によってもたらされたものについてはどうするかが問題となってきます。争われてはいるか、その部分は一種の費用とみて管理者から本人に償還請求ができると考えるべきです。そこで、土地の購入後の地価の急騰が、特殊の才能に基づくものかが問題となります。この問題は、これらの角度から判断すべきです。
事務管理になると、その事務の処理のために処分行為もできると判例はみています。ただ、事務管理は、本人と管理者との対内関係にとどまるにすぎないことから、その処分行為の効果が、本人に直ちに帰属するかどうかは(対外的関係)別個に考えなければなりません。管理者は、自己の名前で処分をしているならば、本人の追究がないかぎり、本人に効果の生ずる余地のないことは当然です。管理者が本人の名で処分したときは、判例は無権代理行為となるとしています。その場合、代理の法理によって解決されるが、表見代理になるか、あるいは本人が追認しないかぎり、本人には効果が及ばないことになる。この問題で、妻の日常家事代理権を基本代理権としての表見代理の成立が考えられるが無理のはずです。また、追認、追完もないものと理解されるため、Aの請求は認められます。

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