寄託

BはA銀行に五〇万円の預金をしました。
預金は無記名定期預金でありCがA銀行より貸付を受ける形をとりつつBに裏利息を支払うという導入預金でした。BがA銀行に預金の返還を請求したところ、A銀行は、この預金が不法原因給付になるとして返還を拒みました。Bの返還請求は認められるでしょうか。
Bの預金は、実はBの預金口座に組み入れるという約束でBが小切手を交付したものでした。ところが小切手の交付を受けた行員は、これを横領して銀行には入金していませんでした。Bは預金が成立したとしてその返還をA銀行に請求できるでしょうか。
Bの預金は、Dが出捐し、税金対策上Bに頼んでB名義で定期預金としたものでした。Dが銀行に預金の返還を請求したところ、Bが銀行より貸付を受けていたので、A銀行はこの定期預金が相殺による担保に供しうるとしてDへの支払を拒みました。Bも預金がDのものだと認めているとき、DのA銀行への支払請求は認められるでしょうか。
B名義の定期預金が書きかえられ真実の預金者D名義の定期預金とされました。この定期預金には譲渡禁止の特約がついていますが、Dの債権者Eは早速これを差し押えました。A銀行がDへの貸付債権の担保として従来のB名義の預金債権上に質権をもっていた場合、質権は書替後の預金債権上にも当然存続しうるでしょうか。

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預金の見返りとして貸付が行なわれ、借受人が預金者に裏利息を支払うという合意のある場合の預金を導入預金といいます。金融秩序を乱すので、「預金等に係る不当契約の取締に関する法律」がこれを禁じています。
民法七〇八条の「不法」とは、反道徳的な醜悪な行為をいいますが、導入預金取締法違反は、直ちに「不法」とはいえません。公平の見地からも、Bの返還請求を認めるのが妥当です。
銀行預金は、消費寄託で、要物契約です。そこで金銭の交付がないかぎり預金は成立しません。交付された小切手がその銀行で直ちに現金化しうるもの(当店券)であれば、小切手は現金と同視しうるので、直ちに預金が成立しますが、他店渡の小切手の場合には不渡りの危険もあるので、小切手の交付により取立委任があったにとどまり、現実に取立による入金があってはじめて預金が成立すると解すべきです。ただその場合でも、取立を停止条件とする条件附預金契約が成立したとみて、行員の横領があると、民法一三〇条の類推適用により、Bは銀行に預金の返還を請求できます。
他人名義の預金につき、誰を預金者とみるべきかにつき諸説がありますがが、本問のように銀行預金が貸付金の担保としての役割の性格を帯びているとき、銀行の信頼を保護するには、Dが真実の預金者であっても、Dの預金返還請求は認められないと解すべきです。
A銀行の質権は書き替えられた定期預金債権上に存続します。他方、定期預金債権が譲渡禁止とはいえ、Dの債権者Eはこれを差し押えできます。そこで問題は、A銀行が質権を第三者Eに対抗しうるかどうかにかかります。定期預金債権を債務者たる銀行が自ら質にとる場合には、民法三六四条一項は適用されず、契約書に確定日附を附することが対抗要件となると解すべきです。

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