委任

Aは、Cの不注意による自動車事故にあったので、Bに損害賠償請求事務の処理を一任しました。
BはAを代理して、低額の示談合をCととりまとめ、以後一切の損害賠償請求権を放棄すると約しました。示談契約は有効でしょうか。委任と代理とは、どういう関係にあるでしょうか。AはBが安易に示談契約を結んだ点につき、その責任を追及しうるでしょうか。
Bは弁護士ではありません。A、B間で報酬につき特に定めませんでしたが、BはAに報酬を請求できるでしょうか。Bがいわゆる示談屋のときはどうなるでしょうか。
Bは弁護士の場合BはAに報酬を請求しうるでしょうか。報酬額は何を基準にして定めのでしょうか。Aは一方的にB弁護士への依頼を中途で解除できるでしょうか。Aが解除した上で、直接Cと示談契約を締結したとき、BはAに報酬を請求できるでしょうか。
Bが弁護士の場合、AはBへの報酬も損害に該当するとして、その賠償をCに請求できるでしょうか。

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委任契約によりBはAより代理権を授与されたことになります。委任と代理とは本来別個の性格のものですが、委任契約には通常代理権授与を伴うと解されています。そこで本問の示談契約は有効です。もしBが安易に示談契約を締結し、Aにいちじるしい不利益を及ぼしたのであれば、Bは受任者の善管注意義務を欠いたことになるので、AはBに債務不履行上の損害賠償を請求しうります。もっとも無償の委任契約については、受任者の注意義務が軽減されるという学説もあります。
Bが弁護士でなく、しかも報酬につきとくに合意がなかったとするとBはAに報酬を請求することはできません。
弁護士でない者は報酬を得る目的で訴訟事件その他一般の法律事件に関して代理、和解その他の法律事務を取り扱い、またはこれらの周旋をすることを業とすることができず、これに違反した者は処罰されます。これに抵触する委任契約は公序良俗に反して無効です。そこで示談屋は報酬を請求することはできません。
Bは弁護士である以上、たとえ報酬につき明示の合意がなくても、黙示の合意、もしくは事実たる慣習により、Bは報酬を請求できます。報酬額は、日本弁護士連合会会規第七号による弁護士報酬等基準額(所属弁護士会により異なることがある)を一応の基準とし、当該の場合の弁護士の協力の程度、その他の事情を考慮して決定すべきです。
委任契約は一方的に解除できます。ただし相手方に不利な時期に解除したため損害を与えたときは、それを賠償しなければなりません。
Aが解除の上、Cと示談契約を締結した場合には、事情により民法一三〇条が適用され、Bの報酬請求が認められます。
最近の下級裁判所では、弁護士報酬も被害者の受けた被害になるという裁判例が確立しています。最高裁も、これを承認するものとみられます。

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