雇傭

A会社はB女を雇い入れました。
BがA会社の経理事務を担当していたあいだ、A会社の金一〇〇万円を使いこみ、会社に対し同額の損害賠償義務を負担するにいたりました。Bの証人に際しBの身元を保証したCはすでに死亡しているとき、A会社はCの相続人Dに対し、保証債務の履行を求めうるでしょうか。
この事情の下で、A会社は相殺により、Bへの給料の支払を拒むことができるでしょうか。またBは、給料債権による相殺を主張し、A会社への損害賠償債務を免れることができるでしょうか。
Bが高校卒業ということでA会社はBを雇い入れたが、Bは高校を中途退学していました。経歴詐称につき、A会社はBに対しいかなる法的措置をとりうるでしょうか。
A会社の就業規則には、女子社員が結婚したときは退職する旨定められています。結婚したBをA会社が解雇したので、Bは就業規則が無効だと主張します。就業規則は有効でしょうか。
A会社が経営不振のため休業をした間、Bはホステスとして収入を得た。この収入はA会社の給料を上まわります。Bはなお、A会社に対し休業中の給料を請求しうることができるでしょうか。
A会社が破産したとき、Bは退職金につき先取特権を主張しうるでしょうか。

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身元保証契約は、身元保証人と本人との間の個人的な信頼関係を基礎として成立し存続すべき性質を有するため、一身専属的なものと解されます。したがって、身元保証人が死亡したときすでに具体的な保証債務が生じていればこれは相続されることになりますが、基本的保証債務は相続されません。したがって、相続人Dに対するA会社の請求は認められません。
A会社の給料債権を受動債権とする相殺は賃金全額払の原則に違反するため、相殺を理由とする給料の支払を拒むことはできません。Bが給料債権を自働債権として相殺を主張することを認めるとやはりこの原則に違反するから許されません。労働基準法二四条一項但書の協定があるときは、一定の限度内で例外が認められます。
経歴詐称が懲戒解雇の事由となることがありうります。しかし、そのためには、就業規則に経歴詐称が懲戒事由としてあらかじめ定められていることが必要で、さらに、詐称した経歴が客観的にみてA会社の能率ないし採算に影響を及ぼすかあるいは詐称が合理的に判断して雇傭関係を継続しがたいほど重大だと考えられることが必要です。
結婚したときは退職する旨を定める就業規則は、性別による差別、結婚の自由の制限にあたるため、公序良俗に違反し無効だと解すべきです。
経営不振のため休業した場合、BはA会社に対して平均賃金の一〇〇分ノ六〇以上の手当の支払を請求できます。さらに、この経営不振がA会社の故意、過失によって生じたため、民法五三六条二項の要件を満たすときは、給料全額について請求することができます。ただし、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを控除すべきことになっています。Bの休業中の収入はA会社の給料を上回るから、休業中の給料は請求できるかについては、労働基準法二六条の趣旨に照らし、控除額は四割をもって限度と解すべきです。
退職金は給料と解すべきですが、民法三〇八条の特則である商法二九五条によって当然に先取特権を主張することができます。

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