建物賃貸借3

A所有家屋をBが賃借し、Bは内縁の妻Cとともに、この家屋に居住しています。一方Aはこの家屋の所有権をDに譲渡し、所有権移転登記を終えました。Dはこの家屋を改造し、一階を喫茶店、二階を貸事務所として利用したいと考えています。
Dは所有権に基づきBに明渡を求めたい。Bは賃借権をDに対し主張しうるでしょうか。
BはCのほか身寄りがなくこの家屋で死亡しました。DはCに居住の権利がないと主張し、Cに対し明渡を請求します。Dの請求は認められるでしょうか。
死亡したBには、他の都市に甥Eがいることが判明した。Dはこの家屋の賃借権の相続人がEであり、Cに居住権がないと主張し、Cに対し明渡を求めました。Dの請求は認められるでしょうか。
Eはこの家屋に居住したく思い、Cに対し退去を求めました。Eの請求は認められるでしょうか。

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借家権は建物の引渡があれば対抗力をもつため、居住しているときは、新家主の所有権に基づく明渡請求は認められません。Dがこの家屋を自ら利用する必要性があっても、解約の申込には正当事由があることを要し、その有無を判断するにあたっては、借家人の存在を知って買い受けた新家主であることが貸家人に不利な要素として評価されるから、解約を理由とする明渡請求も認めがたくなります。
CのほかBには身寄りがない場合には、Cは内縁の妻でありかつ同居していたから、賃借人Bの権利、義務を承継します。したがって、Aの明渡請求は認められないことになります。
死亡した賃借人に相続人がいる場合でも、すべての学説および判例は、家主との関係で、内縁の妻が居住を継続できることを承認する。賃借権は相続人に相続されますが、内縁の妻は家主に対してその賃借権を援用しうることを認めるという考えかたに代表されるのが一つの立場であり、多様な構成がありますが、総括すれば、賃借権が相続人に相続されることを否定し、別個の根拠に基づいて内縁の妻に賃借権が承継されると解するのがもう一つの立場です。いずれにしろ、家主に対して内縁の妻が居住する権利を主張できることを承認するから、相続人Eが存在しても、Aの明渡請求は認められないことになります。
民法八九六条に基づいてEに賃借権が相続されることを承認する立場でも、内縁の妻の居住を保護するため、相続人からの明渡請求については、権利濫用理論を適用してこれを否認しています。つねに明渡(退去)を請求することが権利濫用となることを認めるならば、Eの請求はつねに認められないことになります。そうだとすれば賃借権の相続を承認することはあまり意味がないことになり、場合によっては権利濫用に該当せず退去を求めうるとすると、内縁の妻の居住は不安定となります。
したがって、学説としては、結果的には賃借権が相続人に相続されることを否定し、同居していた内縁の妻に承継されることを主張する考えかたが有力になっています。この立場に立てば賃借権はCに承継されるから、Eの請求はもちろん認められないことになります。

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