建物賃貸借2

A所有家屋をBは賃借し、ここに居住しています。
Aは、従来居住してきた自宅に結婚した息子夫婦を住まわせ、Bが住んでいるA所有家屋に自分かち夫婦が居住するため、Bに対し解約を申し入れました。Bは老齢で収入も少なく新たに借家を見つけることが困難なため、Aの申入を拒みました。そこでAは一〇万円の立退料を出そうといいました。それでもBが明渡を拒むので、AはBに対し立退請求の訴を提起しました。Aの請求は認められるでしょうか。
Bは家賃をニカ月分滞納しました。早速Aは債務不履行を理由に賃貸借契約を解除し、Bに立退を求めました。Aの請求は認められるでしょうか。
Bはこの家屋に遠縁にあたる学生Cを住まわせ、毎月一、〇〇〇円の謝礼をもらってきました。Aは家主の同意なしに他人を居住させてはならないと主張し、契約を解除した上、Bに対し立退を求めます。Aの請求は認められでしょうか。
学生Cが毎夜のように友人をつれてきて大騒ぎをし、近所で苦情が絶えません。Aはこれを理由に予告なしに契約の解除をしました。解除は有効でしょうか。

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期間の定めなき借家契約の解約申込はいつでも可能ですが、正当な事由あるときにのみ許されるという制限が加えられています。正当事由の有無は、貸家人、借家人双方の事情を比較考量して決定され、その家屋を使用する貸家人側の必要性が強いと判断できる場合に正当事由ありとされることになります。
結婚した息子夫婦を従来居住してきた自宅に住まわせ、Aが貸家に居住したいということは貸家人側に有利な要素です。他方、Bが老齢で収入も少なく新しい借家を見つけることができないことは、借家人に有利な要素です。この二つの要素だけを考量すると正当事由は認められないといえます。立退料の提供は貸家人に有利な要素を追加することになります。しかし、Bが新借家を得るための権利金、敷金、引越費用などを考慮して相当額と見られるものであることが必要ですが、一〇万円は低額にすぎると判断されます。立退請求は否認されるべきでしょう。
賃料不払という債務不履行が生じた場合、民法五四一条を適用して契約解除ができるか否かが問題になりますが、賃貸借契約は継続的契約であるから、その適用を否認し、債務不履行が解除をなすに値するものかどうかが判断されなければなりません。賃貸借契約の基礎たる信頼関係を破壊したといえるかどうかによって判断されることになりますが、本件の場合については解除は無効といわなければなりません。
無断転貸は民法六四一条二項によって解除原因となりうりますが、そのためには無断転貸が認定されるほか、無断転貸が信頼関係を破壊すると判断されることが必要です。本件の場合、遠縁にあたる学生を住まわせたことは、月一、〇〇〇円の謝礼をとっていても転貸にあたりません、したがってAの請求は認められないと考えてよいでしょう。
苦情の原因となる大騒ぎが借家契約の基礎にある信頼関係の破壊と評価しうるかどうかについては、意見が対立しているところです。かりに信頼関係を破談したと評価する立場をとっても、制止することをせず、予告なしに解除することは許されないといえます。

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