消費貸借

BはAより一〇〇万円を借りる約束をしました。
公正証書を作成した時点で金銭の交付がなされていないとき、公正証書は有効でしょうか。また、B所有不動産に抵当権の設定登記がなされたが、その時点で金銭が交付されていなかったとき、抵当権は有効でしょうか。
A、B間の契約を諾成的消費貸借契約とみて、これを有効視しうるか。これを消費貸借の予約とみるのと、どのようなちがいがあるでしょうか。
Aが一〇〇万円の代わりに手形を交付したとき、金銭消費貸借契約は有効に成立したとみてよいでしょうか。
Bの一〇〇万円の借入というのは、以前BがAに対して負担していた数日の債務か一口の債務にまとめたものでした。AがBに一〇〇万円の支払を請求したところ、旧債務につきBは五〇万円を弁済しており、実は五〇万円しか債務が残っていなかったと主張しました。AのBに対する貸金請求訴訟において、旧債務の存否の立証責任は誰が負うことになるでしょうか。

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消費貸借の要物性を厳格に貫くと、本問の公正証書や抵当権は無効となります。しかし、これでは、当事者の意思、取引の実際を無視する結果になり、適当でないので、判例は、公正証書の性質や抵当権の附従性の緩和を根拠に有効であるとしています。学説は、判例を支持するとともに、さらに進めて、消費貸借の要物性には合理的理由がないから、ゆるやかに解すべきである(要物性の緩和)として、有効性を認めています。
金銭の授受に先立って契約証書を作成する場合は、一般に、このときに諾成的消費賃借契約の締結(成立)ありとして有効視して差支えありません。要物性を固執しなければならない理由にとぼしく(とくに利息附消費貸借の場合は、むしろ諾成契約とみる方が当事者の通常の意思に適するだろうからです。もっとも、無利息消費貸借は要物契約の方が適当しているともいえますが、しかし、諾成契約であっても五五〇条の準用がある以上、それほど不都合はありません(無利息消費貸借は、無償契約であり、贈与規定は、無償契約の原則規定と解すべきです)。したがって、A、B間の契約は、諾成的消費貸借とみて差支えありませんが、なお、消費賃借の予約とみることもできなくはありません。消費貸借の予約は、将来、本契約(消費貸借)を締結することを約する契約であるため、後日、これに基づいて、金銭授受と合意を内容とする本契約を締結しなければならなりませんが、諾成的消費貸借では、金銭の授受に際し改めて合意をする必要がなく、また、前者では、借主となるべき者がその地位を第三者に譲渡することはできませんが、後者では、借主はその債権を第三者に譲渡することができます。
金銭の消費貸借が成立するためには、金銭そのものの授受はかならずしも必要でなく、これと同一の経済上の利益を有する物が交付されればよい。したがって、本問の手形の交付でも差支えなく、特段の事情がないかぎり、手形交付の時に金銭消費貸借が有効に成立したものとみてよい。
旧債務の不存在を理由に新債務の成否を争う者は、旧債務の不存在の事実を主張、立証しなければなりません。本問についていうと、被告Bが旧債務不存在の立証責任を負います。

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