第三者のためにする契約

AはBから金銭を借りていましたが、Bに金銭を返すために、Aは土地、建物をCに売却してその代金をもって返済にあてることにしました。その際、Bに代金債権を取得させるのではなく、Bを代表者とするD株式会社に帰属させることに話がつきました。
この契約がなされたときに、もしD株式会社は成立直前であったとすると、この契約は有効だと考えるべきでしょうか。
買主のCは、D株式会社が請求しても代金を払ってくれません。この場合、Aは代金の請求をすることができるでしょうか。また、Cが代金を払わない場合に、D株式会社は売買契約の解除をすることができるでしょうか。
AがCに売却したのは、Cの詐欺によるものでした。それを知ったAはこの売買契約を取り消しました。ところが、D株式会社は善意の第三者であるからといって、その代金をCに請求しました。認められるでしょうか。
もし、Bが青森に住んでいるとして、AがBに返済するため、東京のE銀行にBを受取人とする電信送金を頼みました。E銀行は青森にあるF銀行(電信為替取引契約)に支払を委託しました。このような電信送金契約は第三者のためにする契約でしょうか。

スポンサーリンク

お金を借りる!

第三者のためにする契約においては、第三者が現存し受益の意思表示をなすことは、第三者の権利の発生要件と解するのが通説です。契約それ自体は、要約者と諾約者との間で一般の契約の要件にしたがって効力を生じます。判例も、将来出現するであろうと予期される者をもって第三者とした場合でも、有効に成立する旨を明言しています。
契約の内容が、第三者に事実上利益を与えるだけか、直接に権利をも取得させる趣旨のものかでこれを分けることができ、前者を不真正、後者を真正の第 三者のためにする契約といいます。不真正であれば契約者が契約当事者として代金支払請求権を失わないのは当然です。設例は真正の第三者のためにする契約と思われますが、この場合にも、要約者(A)は第三者(D)と並んで諾約者(C)に対し履行請求権を有するとするのが通説です。また、第三者は契約当事者ではないから、契約の内容によって定められた権利のみを取得し、解除権や取消権は取得しません。
この第三者は、無効または取り消された行為の外形を信頼して新たな利害関係を取得するにいたったものではなく、当該の契約から直接にその権利が生じたものであるから、善意の第三者保護は与えられません。
電信送金契約が第三者たる送金受取人のためにする契約か否かは、実務においても近年争われたところです。ここでは、対立する学説の詳細にわたって論じる余裕はありませんが、判例は、第三者が諾約者に対し直接権利を取得したことを主張する場合には、第三者約款の存在を必要としますが、電信送金委託契約項中にはそのような条項が存在すると認められず、被仕向銀行(F)は、仕向銀行(E)に対する関係においては送金受取人(B)に送金の支払をする義務を負うが、送金受取人本人に対する関係においてはそのような義務を負うものではなく、単に仕向銀行の計算において送金の支払をなしうる権限を取得するにとどまるとして、第三者のためにする契約であることを否定しています。

お金を借りる!

契約の成立/ 懸賞広告/ 契約締結上の過失/ 同時履行の抗弁権/ 危険負担/ 第三者のためにする契約/ 契約の解除1/ 契約の解除2/ 贈与/ 売買の手附金/ 売買での売主の担保責任/ 不動産売買での売主の担保責任/ 売主の担保責任/ 消費貸借/ 使用貸借/ 宅地賃貸借/ 建物賃貸借/ 賃貸借の賃料/ 建物賃貸借2/ 建物賃貸借3/ 雇傭/ 請負/ 委任/ 寄託/ 組合/ 終身定期金と和解/ 事務管理/ 不当利得/ 責任能力と失火責任/ 自動車事故での不法行為1/ 自動車事故での不法行為2/ 自動車事故での不法行為3/ 名誉、プライバシー/ 取引事故/ 婚約/ 婚姻の届出/ 夫婦の氏/ 夫婦の財産関係1/ 夫婦の財産関係2/ 協議離婚/ 審判、裁判離婚/ 財産分与請求権/ 内縁/ 嫡出子/ 嫡出でない子/ 養子縁組/ 親権、後見1/ 親権、後見2/ 扶養1/ 扶養2/ 相続の意義と相続回復請求権/ 相続人/ 相続の効力1/ 相続の効力2/ 遺産分割/ 相続の承認と放棄/ 相続人の不存在/ 遺言/ 遺留分/