危険負担

AはBに建物と自動車を売却しました。自動車は、Cのもので、いずれはBに売るものでした。Bに売却した直後に、隣家からの火事で、建物も自動車も全焼してしまいました。
建物をBに引き渡し、移転登記もしていないうちに焼失してしまった場合に、Aは建物の代金を請求できるでしょうか。
自動車の引渡が終わらないうちに焼失してしまい、Aはその代金の請求ができるでしょうか。
Aは、この建物に火災保険をかけておきました。建物の焼失によって、Aが火災保険金請求権を取得した場合、Bはその譲渡を請求できるでしょうか。

スポンサーリンク

お金を借りる!

「特定物二関スル物権ノ設定又ハ移転ヲ以テ双務契約ノ目的ト為シタル場合」には、債権者が危険を負担する。本問はまさにこの場合に該当し、危険は債権者Bが負担しAは代金債権を失わないことになります。しかし、目的物の引渡や登記の移転も受けていないのに、契約締桔のみで危険が買主に移転するとされるのは私達の一般感情に合致しません。通説、判例に従って、特定物売買においては目的物の所有権は契約成立時に買主に移転すると考えても、この所有権は全く実質のない形式的、観念的なものにすぎないから債権者主義の合理的根拠とはなし難く、そこでこの規定を制限的に解釈し、(1)不動産売買においては、特約で引渡や登記のときまで所有権の留保がなされた場合には、このいずれかが生じた後にはじめて同条一項の適用が生ずるものとしたり、(2)所有権留保の特約がなくても、引渡、登記、代金支払のうちいずれかが生じたときに債権者が目的物についての支配を収めたとみて、その時点で危険が買主に移転する、などの説が唱えられています。また、二重売買や他人の物の売買についても債権者主義は排除されると説かれる(通説)のもその現われです。判例は、契約成立時を基準にした純粋な債権者主義の態度を崩していません。
Aは他人の物を売買したのであるから、前述のように債務者主義にしたがい代金債権は認められません。
物の滅失、毀損によって債務者がその代償たるべき利益を得ているときは、債権者はその代償の譲渡を請求しうります。これを代償請求権といい、ドイツ、フランス民法は明文をもって認めています。日本の民法には規定がありませんが認めるのが通説です。第三者による物の滅失、毀損に基づく損害賠償請求権、公用徴収による保証金債権、保険金請求権などがこれにあたります。したがって、BはAの取得した火災保険金請求権の譲渡を請求しえ、それはBのAに対する代金債権と対価的関係に立ちます。

お金を借りる!

契約の成立/ 懸賞広告/ 契約締結上の過失/ 同時履行の抗弁権/ 危険負担/ 第三者のためにする契約/ 契約の解除1/ 契約の解除2/ 贈与/ 売買の手附金/ 売買での売主の担保責任/ 不動産売買での売主の担保責任/ 売主の担保責任/ 消費貸借/ 使用貸借/ 宅地賃貸借/ 建物賃貸借/ 賃貸借の賃料/ 建物賃貸借2/ 建物賃貸借3/ 雇傭/ 請負/ 委任/ 寄託/ 組合/ 終身定期金と和解/ 事務管理/ 不当利得/ 責任能力と失火責任/ 自動車事故での不法行為1/ 自動車事故での不法行為2/ 自動車事故での不法行為3/ 名誉、プライバシー/ 取引事故/ 婚約/ 婚姻の届出/ 夫婦の氏/ 夫婦の財産関係1/ 夫婦の財産関係2/ 協議離婚/ 審判、裁判離婚/ 財産分与請求権/ 内縁/ 嫡出子/ 嫡出でない子/ 養子縁組/ 親権、後見1/ 親権、後見2/ 扶養1/ 扶養2/ 相続の意義と相続回復請求権/ 相続人/ 相続の効力1/ 相続の効力2/ 遺産分割/ 相続の承認と放棄/ 相続人の不存在/ 遺言/ 遺留分/