訴訟行為の評価

一般に訴訟行為の瑕疵とは訴訟法規の違背の場合であると説明されています。訴訟行為が実体法的に見て理由があるかないかはここでは無関係です。しかし訴訟法規違背、すなわち訴訟法の要求にかなわない訴訟行為であっても、法は要求の違背を忍んでその機能の営みを承認することが可能です。これを忍びえない場合にのみ、行為の機能が否定されます。そのいずれの場合でも、法が行為を瑕疵ありとし、無条件にはこれを承認しえないと見ていることは同じです。法の要求にかなうかいなかは、適法・不適法(許容性)の問題であり、機能が承認せられるかいなかは、有効・無効の問題です。ただこれらは成立したと判断される訴訟行為についてのみ問題となるから、まず訴訟行為の成立・不成立の評価が先行すべきです。
申立権の濫用であることがきわめて顕著な申立てを、裁判所は全く無視できるでしょうか。

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訴訟行為の評価については、訴訟行為の主体・内容の多様性とも関連し、全般についての明確な定説がありません。したがって、個別的な限定が必要ですが、基本的には、つぎのようにいえます。訴訟行為の成立・不成立は、一定の訴訟行為としての概念要素を充足しているかどうかによる評価であり、たとえば、警察署への訴状提出、司法修習生の起案した判決書は不成立です。裁判所に対する審判の要求であること、裁判官の行為であることが、それぞれ訴えなり判決の概念要素をなすからです。有効・無効は、成立した訴訟行為につき、それが本来の効果を生じうるか否かの評価であり、訴訟無能力者の訴訟行為、中断中になされた訴訟行為などは無効とされます。効果を生じさせては、それぞれの制度の趣旨に反するからです。適法・不適法は、有効な訴訟行為につき、それ以上の訴訟法規の違背の有無による評価です。訴え・上訴が有効でも、訴訟要件なり上訴要件を欠けば不適法となります。さらに、適法な申立ての内容が具体的な裁判規準たる実体法ないし訴訟法に照らして是認されるかどうかにより、理由あり(認容)・理由なし(棄却)の判断がなされます。
申立権の認められている事項については、裁判所は、申立てを無効ないし不適法と認める場合でも、無視できず、却下の裁判をしなければなりません。無視してもよいとなれば裁判の拒否が生じうるし、また、却下の当否を上訴などにより争う可能性を確保する必要もあるからです。
訴訟手続は訴訟行為の連鎖であり、ひとつの訴訟行為の瑕疵がこれと関連する他の訴訟行為の効力にも影響するので、法は、一定の場合に瑕疵の治癒を認め、手続の安定と経済をはかっている。任意規定の違背については責同権の放棄・喪失が認められるし、裁判が確定すれば、基礎となった訴訟行為の瑕疵は再審事由とならないかぎり治癒します。そのほか、無能力者や無権代理人のした無効な行為に対する追認、不適法な訴え・上訴の場合や訴訟能力・代理権などの欠缺がある場合における補正により訴訟行為は遡って有効・適法となりえます。なお、不変期間俯怠の効果は、訴訟行為の追完により除去されます。

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