民法上の組合と訴訟

青果業者Xは、同業のAほか一八名と共同してM組合をつくり、果物の販売をはじめました。Xを理事長とし、組合規約によれば、組合長は、組合の業務の執行に必要な一切の裁判上、裁判外の行為ができることになっています。M組合では、Z商社から仕入れた果物を小売商Yに売却しましたが、Yは代金を支払いません。
Xは、Aほか一八名とともに全員が原告となって、Yに対し果物代金支払請求の訴えを提起しました。この訴訟において、Xが単独で訴えを取り下げることはできるでしょうか。
Xは、M組合を原告とし、その代表者として、Yに対し代金支払請求の訴えを提起しました。この訴えは適法でしょうか。
Xは、自ら原告として、Yに対し代金支払請求の訴えを提起しました。この訴えは適法でしょうか。
M組合が原告となるか、X自身が原告となるかによって、訴訟上、どのような請点にどういう差異が生じるでしょうか。
Z商社は、資産のあるXとAとだけを被告として、M組合に納入した果物の代金支払請求の訴えを提起しました。この訴えは適法でしょうか。

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民法上の組合が取得した債権は組合員全員に合有的に帰属し、それについての管理処分権も全員が合有するとみるべきであるから、その債権に関する訴訟は組合員全員による固有必要的共同訴訟です。固有必要的共同訴訟の場合でも、各自訴えを取り下げることは妨げられず、ただその結果、他の者の訴えも不適法として却下されると説く見解もありますが、通説は、訴えの取下行為は、民事訴訟法六二条にいう「全員ノ利益」になる行為とはいえないので、全員でしないかぎり、取下げの効果は生じないとみています。
民法上の組合は、社団と比べると、その団体性が稀薄であり、またもし組合に当事者能力を認めて、常に代表者が訴訟を追行できるとすると、他の組合員の利益を害するおそれがあるという理由から、通説は組合に当事者能力を認めていませんが、判例とこれを支持する有力説は、組合も対外的には一個の団体として取り扱われていること、ならびに社団と組合との区別が実際上困難であることなどを理由に、民事訴訟法四六条を類推適用して、当事者能力を認めています。それ故、この訴えは通説では不適法、判例では適法となります。
設例の組合規約は、Xに組合債権につき訴訟をする権限を授権したものと解しうる。Xは組合の理事長として取引に現実に密接に関与しているものと思われ、このようなXに任意的な訴訟信託をなす合理的な必要性が存すると解しうるから、Xに当事者適格ありといってよいから、この訴えは適法です。
訴訟法上、当事者を基準としてその存否や帰属の有無が判断される事項、たとえば人的裁判籍、当事者能力、訴訟能力、二重起訴、訴訟費用の負担、訴訟上の救助、判決効の人的範囲などにつき個別的に検討されるべきですが、最も重要なのは判決効の人的範囲の問題であり、もしM組合が当事者として受けた判決が各組合員個人にも及ぶと解することができれば、その他の点では実際上はあまり差異は生じません。
通説は組合債務は組合員全員が合有的に負担する一個の債務であることを理由に、全組合員が訴えられないかぎり当事者適格を欠くと解しています。反対説は、各組合員に対する個別訴訟を認め、ただ全員に勝訴した上でないと組合財産に対する強制執行ができないと解している。

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