債権者代位訴訟2

AはYに対し、不動産売買代金二ハ六万円を有します。X1はAに対し貸金債権二〇六万円を有しますが、弁済期が来ても支払いがないので、その回収のため売買代金債権のうち自己の債権額の範囲につき、Aに代位してYに対する支払請求の訴えを提起しました。ところが、国X2はAに対し滞納所得税債権一一〇万円を徴収するために、国税滞納処分として売買代金債権を差し押え、ついでその取立てのために同一裁判所に、同債権のうち滞納所得税債権額の範囲につき支払請求の訴えをYに対して提起しました。
X2による差押えまたは取立訴訟の提起により、X1のYに対する訴訟は影響を受けるでしょうか。
裁判所は二つの訴訟を併合することができるでしょうか。あるいは併合しなければならないでしょうか。
併合された場合、その多数当事者訴訟は通常共同訴訟か、必要的共同訴訟か、あるいは独立当事者参加訴訟でしょうか。
仮にX1、X2勝訴、Y敗訴の判決をする場合、その主文をどのように書いたらよいでしょうか。
債権者代位権に基づく訴訟の判決の効力は本人に及ぶでしょうか。そして取立訴訟の場合はどうなるのでしょうか。

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設例は、近時最高裁の一判決が提起した問題に関係しますが、これについての学説は混沌としています。
判例、多教説は、X2が、代位訴訟の目的たるAの権利を差し押え、取立権を得ても、すでに代位訴訟を追行しているX1の訴訟追行権は失われないとします。しかし、反対に解する少数説もあります。
多数説、少数説ともに、X2が別訴を提起するのは、二重起訴の禁止に触れるとします。そして、多数説は、この場合、裁判所は両訴を併合しなければならないことはないが、併合することはでき、併合すれば瑕疵が治癒されると説きます。少数説では、元来、X2は、取立権を得た限度で、心の訴訟係属中の適格承継人となるので、七一条、七三条により代位訴訟に参加し、X1の地位を承継すべきであるとするから、瑕疵が治癒されるか否かは、併合後X2の訴えを七三条の参加とみなしうるか否かによります。
X1、X2ともに訴訟追行権を有するとする多数説は、併合後の訴訟は類似必要的共同訴訟であると説きます。
しかし、併合後、X1、X2の各請求の範囲は二八六万円全体に拡張されるのかとの問題とも関連し、以後の訴訟関係全体に民事訴訟法六二条が適用されるのか、X1の当初の請求二〇六万円とX2のそれとが、二八六万円の枠の中で重なり合う部分に限られるのかは明らかではありません。
前掲最高裁判決は、「Yは、X1に二〇六万円、X2に一一〇万円支払え」と判決しました。しかし、これでは、Yは、その債務額をこえて執行される危険があります。そこで、「Yは、X2に一一〇万円、X1に一七六万円を無条件で、三〇万円をX2の差押えが解除されることを条件として、それぞれ支払え」との判決をせよと説く者が多い。
代位訴訟、取立訴訟とも、判決の効力は、債権者の勝訴、敗訴をとわず、権利帰属主体たる債務者に及ぶとするのが通説、判例です。しかし債権者勝訴の場合にのみ及ぶとする少教説があります。

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