確認の訴え3

Xは、Yから全一〇〇万円を借り受けたましたが、すでに二五万円ずつ三回にわたって内入れ弁済を行ないました。ところが、Yは、なお五〇万円の債務が残っているといい張っているので、Xは、Yを相手どって訴えを提起し、「XのYに対する残債務は二五万円を超えては存在しないことを確認する」との判決を求めました。
審理の結果、Xの主張する三回の弁済のうち、はじめの二回の各二五万円の弁済は、いずれもYに対する別口の債務に充当されたことが、まず判明しました。裁判所は、そのうえなお三回目の弁済の有無を審理しなければ判決できないでしょうか。
結局、XのYに対する残債務は四〇万円であることが明らかとなりました。裁判所は、どのように判決すべきでしょうか。
設例におけるXの申立どおりにX勝訴の判決がなされ、確定したのちに、YがXを相手どって二五万円の支払いを求める訴えを提起したとします。Xは、この二五万円についてもYからかねて免除を得ていると主張して争いました。裁判所はどう処理すべきでしょうか。

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設例の場合、XのYに対する七五万円の債務不存在確認の訴えは許されます。これに対して、残債務は二五万円を超えて存在しないことの確認の訴えを提起しうるかは問題です。原告が前者の訴えのつもりで後者の形式をとる場合、あるいは後者が当然前者として理解するならば、前者が適法であるから問題はありません。これに反して、このように取り扱えない後者の場合は適法でしょうか。ちなみに、上限を示し一〇〇万円中二五万円を超えては債務が存しないことの確認請求は前者に該当します。これに反し、(1)上限を示さず単に二五万円を超えては債務が存在しないことの確認を求める訴えが後者です。ところで、この種の訴えの請求認容判決は不存在債務願を明確にしないが二五万円を超えて債務が存在しないことは確定するから当面の紛争は解決します。しかし請求棄却判 決は債務の現存願を確定しないから紛争の根本的解決にはならず、数額をめぐる新たな紛争を誘発するから、上限を明示しない消極的確認の訴えを不適法とすることも考えられます。(2)もっとも、請求の認容か棄却かの二者択一の関係ではなく一部認容が可能ならこれをすべしとの見解もあります。しかし、この種の訴えでは一部認容は原告の意思に反するとすれば、訴えは不適法。そこで、(3)この種の訴えを、既述のとおり、たとえ申立て中に係争債務の上限が画されていなくても、請求の趣旨、原因等から上限のある訴えとみて、七五万円の債務不存在確認と解し適法とみるのがよい。
前項(1)の場合は、適法説をとれば三回目の弁済を審理せず請求棄却、(2)(3)の場合はこれを審理しなければならないことになります。
(1)の場合は、適法説をとれば請求棄却、(2)の場合は四〇万円以上の債務の不存在確認、(3)の場合は六〇万円の債務の不存在確認判決をします。
(3)の場合、この種の消極的確認訴訟の訴訟物は二五万円以上の債務の存否であって、二五万円の債務ではないから、前者の既判力は後者におよばず、Xは後者の存在を争うことができます。すなわち、二五万円以上の債務が存在しないとの判決は当然に二五万円の債務の存在の判断を含むとはいえません。

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