確認の訴え1

Xは、その所有する土地を五〇〇万円で売ってほしいとの申込みをYから受け、売買契約を結びましたが、あとになって、Xは、地下鉄がその方面に延長されることが最近決定され、近隣の地価がXの売価の三倍近くにも急騰している事実を知りました。代金授受や登記の移転はまだであったので、Xは、Yを相手どって訴えを提起し、売買契約には要素の錯誤があったとして、売買の無効を確認する旨の判決を求めました。
売買の無効は、確認訴訟の対象となりうるでしょうか。
売買契約の成立につきYの詐欺があったとして、Xが売買契約の意思表示を取り消したうえ、この取消しを確認する旨の判決を求める訴えを提起したとすれば、裁判所としては、どのように処理すべきでしょうか。
設例の訴訟における口頭弁論のさい、Yは、自分が本件土地を買い受けたわけではなく、土地を求めていたAの依頼を受けてXとAの売買契約を斡旋しただけである、と主張しました。事実はそのとおりであるとした場合、Xの訴えに確認の利益は認められるでしょうか。また、Yの当事者適格はどうなるでしょうか。

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確認の訴えの対象は、一定の権利又は法律関係の存否である。売買契約は法律関係であるため一般的にいってその無効は確認訴訟の対象になります。確認訴訟の対象になる権利または法律関係ではあっても、当該権利または法律関係をめぐる争いについて訴えをもってその存否を確認する利益すなわち確認の利益がなければなりません。確認訴訟における訴えの利益は即時確定の利益といわれます。すなわち、一般的にいえば、原告の権利または法的地位につき危険ないし不安が現存し、これを除去するため反対の利害関係を有する被告との間で既判力をもって法律関係を確定しておくことが必要かつ適切である場合に即時確定の利益が認められます。設例の場合も、かりに売買契約が有効であれば、Xの土地所有権がYに移転し、XはYに対し登記移転義務が生じ、Yに対して代金債権をもつことになりますが、これらの派生的権利義務関係をめぐる紛争を、基本的関係である売買契約の効力の確定により効率的に予防ないし解決できるので、異論はありますが、売買契約の効力の存否の確認につき利益が認められます。
法律行為の取消しは法律行為ですが、それ自体は取消しの対象になる法律行為の無効を招来する行為であって、無効の法律要件事実であるにすぎません。したがって、Xとしては取消しを確認するのではなく、取消しの効果として売買契約の無効を確認の対象としなければなりません。しかしながら、取消確認の訴えが提起された場合、これを釈明して売買契約の無効確認の訴えに読み変えることはできます。
その者との関係で権利または法律関係が確定されることにより、原告の法的地位をめぐる危険、不安が直接に解消されるがごとき場合に、その者が被告適格をもちます。質問の場合は、売買契約の相手方はAであってYではありません。したがって、Yとの間で売買契約の無効を確定しても、Aがその有効を主張すれば依然としてXの所有者としての地位は危険であり不安定です。YではなくAが被告適格をもつことになります。Aを抗告とすれば設例のYに対する契約無効の訴えと同様に確認の利益があります。
ただし設例に挙げられた事由が錯誤として無効原因になるか否か問題です。地価がXの考えていたものより高価であったということで、動機の錯誤が認められますが、動機が意思表示に際して表示されていないからです。

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