訴え・請求・申立

「判決は、訴えにおいて、原告が請求の趣旨及び原因の記載によって特定して主張してきた訴訟物、訴訟上の請求について判断するものであることを要し、訴えによって審判の申立てられているのとは異った権利関係について認容若しくは排斥する判断を下すことは許されない。」
「原告がその請求を充分理由づけていなくても、被告の陳述により補われる限り、直ちに請求を棄却すべきでなく、また、原告が被告の抗弁事実を自ら陳述し、その主張の一員しない場合でも、被告がこれを争い、その争うこと自体が原告の請求を理由あらしめ得る場合には、なおその陳述の真否を確定しなければ採用し得ない。」
これらの文中に、訴え・請求・申立て・主張・陳述という用語がみられますが、それらの概念の異同はなんでしょうか。
訴えの類型と請求の態様および判決の類型との間には、どのような関係があるでしょうか。
訴えの併合、請求の併合および弁論の併合の異同はどうでしょうか。

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当事者の訴訟行為のうち、裁判所に対し裁判や証拠調べなど特定の行為を要求する行為(意思の通知)を申立てといい、申立てを理由づけまたは排斥するためにする法律効果や事実についての認識判断の報告(観念の通知)を陳述といいます。主張も大体陳述と同義ですが、陳述は自白も合むのに対して、主張は自己に有利な陳述に限って用いるのが普通です。法律上、事実上の陳述(主張)というときはこの意味です。しかし陳述という語はこのほか弁論と同義に用いられることもあり、この場合は申立てをも含みます。訴えは、原告が被告に対する特定の法律的主張(権利主張)の当否について裁判所に対し審理判決を求める申立てであり、この訴えにより審判が求められる被告との関係での特定の権利主張を訴訟上の請求とか、単に請求と呼びます。このように請求は審判の対象(訴訟物)の意味で用いるのが普通ですが、どんな形式の判決を要求するか(確認判決か給付判決か形成判決か)を特定するのも請求の要素とみれば(請求の趣旨でこれを明らかにする必要がある)、この特定の審判形式の要求という面では申立てとしての訴えと重なり合うことになります。
請求には確認請求、給付請求、形成請求の三つの態様があります。訴えは請求の当否についての判決の要求であるから、請求の態様を基準として確認の訴え、給付の訴え、形成の訴えの三つの類型に分けられ、また原告の請求を認容する判決もこれに対応して確認判決、給付判決、形成判決の三つに分けられ、その内容と効力を異にします。もっとも請求棄却の判決は常に確認判決です。
一つの訴訟手続で数個の請求が審判される場合を請求の客観的併合といいます。共同訴訟(訴えまたは請求の主観的併合)も請求の客観的併合を生じますが、普通請求の併合というときは共同訴訟の場合を除く客観的併合の意味で用います。請求の併合は、(1)当事者が当初から一つの訴え、訴え提起行為をもって数個の請求につき審判を求めることによって生じるほか、(2)訴訟中に訴えの変更や反訴などにより新請求を追加する場合、(3)裁判所が別個の訴訟手続で審理されている請求を一つの訴訟手続で併合審理するために、弁論の併合を命じる場合に生じます。狭義では請求の併合は(1)の訴えの併合と同族に用いますが、正確にはこれを固有の訴えまたは請求の客観的併合と呼びます。

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