訴訟上の代理人3

Aは、Yに一〇〇万円の貸金債権を有していたが死亡しました。相続人であるX1、X2、X3は、全員で限定承認の申述をし、X1が民法九三六条一項により相続財産管理人に選任されましたた。そこで、X1は、Yに対し貸金一〇〇万円の返還請求の訴えを提起しましたが、訴状における原告の表示は、「亡A相続財産管理人X1」となっています。
この訴訟における原告はだれでしょうか。
Yは、X1、X2、X3を証人として尋問を求める旨の申出をしました。裁判所は、どのように処理すべきでしょうか。
口頭弁論において、Yは、Aの生前に五〇万円を弁済した旨の抗弁を提出し、X1は、この事実を認めました。X1、X2としては、弁済はなかったと考える場合、とりうる手段はどうなるのでしょうか。
三月一日の口頭弁論期日には、X1が出頭し、次回期日は五月一日と指定告知されましたが、四月一日に家庭裁判所は相続財産管理人を改任し、X1に代わってX2が選任されました。受訴裁判所もYも、この事実を知らず、X1もX2も不出頭のまま、五月一日の口頭弁論を実施してしまいました。この期日におけるYの訴訟行為の効力はどうなるのでしょうか。

スポンサーリンク

お金を借りる!

相続財産管理人の法的地位をどのように解するかによって結果が異なってきます。相続財産管理人のような財産管理人の訴訟上の地位をめぐり学説に対立がみられます。代理説はこれらの財産管理人が実作法上法定代理人である以上、訴訟上も法定代理人であるとしますが、本人については、被相続人、相続財産自体、相続人全員とする見解に分かれます。任務説はこれらの管理人に付与された管理権に基づき自ら当事者となるとします。選択説は当事者となるか法定代理人となるかは、財産主体の管理権が剥奪されているか停止されているかによるとします。判例は、相続人全員を当事者、相続財産管理人をその法定代理人とします。相続人がいるのに相続財産管理人があえて選任される点を重視し、相続財産管理人のみが当事者となると解するのが制度上もっともすっきりしています。しかし、そのことの明文規定を設けることが要望されます。
任務説をとれば、X1が当事者であり、X1については当事者尋問、X2、X3は実質上の利害関係人にすぎないから証人尋問が可能です。代理説の場合は、 X1は法定代理人であり当事者尋問によらねばななりませんが、X2、X3は証人能力を有します。代理説の場合は、X1、X2、X3は当事者であるため、当事者尋問によらねばなりません。なお、証人が一六歳未満のときは宜誓能力のみが否定され、証人能力は失いません。
限定承認者X2、X3が相続財産についての管理権を奪われていないとするなら、X2、X3は共同訴訟参加ができることになります。任務説の立場をとるならば、瓦、瓦は独立して当事者たる適格を欠きますが、実質的に判決の効力を受けることになるので、共同訴訟的補助参加が認められます。これらの場合は、X2、X3はX1と抵触する訴訟行為をすることができます。
法定代理権の消滅および資格の喪失は、いずれも訴訟手続の中断事由とせられています。しかし、法定代理権の消滅は、相手方に通知しなければ効力を生じません。また、訴訟代理人がある場合は、訴訟手続は中断しません。代理説をとれば、Yの訴訟行為は有効ということになるし、任務説をとるなら、X2が追認しないかぎり、Yの訴訟行為は効力を生じません。

お金を借りる!

民事訴訟解決の手段/ 裁判を受ける権利/ 訴訟と非訟/ 裁判所の構成/ 訴額の算定/ 裁判権/ 併合請求の裁判籍/ 合意管轄/ 裁判官の除斥/ 裁判官の忌避/ 当事者の確定/ 氏名冒用訴訟/ 訴訟能力/ 会社の代表/ 訴訟上の代理人1/ 訴訟上の代理人2/ 訴訟上の代理人3/ 訴え・請求・申立/ 給付の訴え1/ 給付の訴え2/ 確認の訴え1/ 確認の訴え2/ 確認の訴え3/ 確認の訴え4/ 株主総会決議取消訴訟/ 債権者代位訴訟1/ 債権者代位訴訟2/ 民法上の組合と訴訟/ 任意的訴訟担当/ 請求の特定(訴訟物理論)/ 一部請求/ 二重起訴の禁止/ 責問権/ 弁論主義/ 釈明権/ 弁論主義の排除/ 訴訟行為の評価/ 不起訴の合意/ 相殺の抗弁/ 準備書面の効果/ 準備手続/ 当事者双方の欠席/ 間接反証/