訴訟上の代理人1

X商社のS営業所では、Yに売却した製菓機械の代金を取り立てるため、同営業所支配人MがR弁護士に訴訟を委任し、Yに対し代金支払請求の訴えを提起しました。
Mの訴訟上の地位はどうなのでしょうか。法定代理人といわゆる法令上の訴訟代理人とは、どう違うのでしょうか。
訴え提起より前にXから、Yに対する代金債権を譲り受けたというZが、この訴訟に民事訴訟法七一条による参加をしました。Rは、Zの参加に対する応訴につきXから格別の委任を受けていませんが、口頭弁論において、X・Z間になされた債権譲渡の契約をZの詐欺による意思表示として取り消す旨の陳述をしました。その効力はどうでしょうか。
RがXの訴訟委任を受ける前に、YはRを訪ね、Xの納入した製菓機械が約束どおりの性能を有しないがXに代金を支払わなければならないものかどうかについて、詳細に事情を話しRと相談したという事情があります。RがXの訴訟代理人としてなした訴訟行為は有効でしょうか。
第一審係属中に、XはAと合併し、新会社 Uが設立されました。訴訟手続には、どういう影響か、どの時点から生じるでしょうか。

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支配人は営業主に代わってその営業に関する一切の裁判上または裁判外の行為をなし得るから、Mは民事訴訟法七九条一項にいう法令上の訴訟代理人です。
法定代理人の訴訟上の地位は無能力者保護のためその身代わりとして本人の意思に基づかないで付与されたものであるのに対し、法令上の訴訟代理人のそれは本人の便益のため本人の意思に基づいて与えられたものであるので、両者の訴訟上の取扱いは異なります。すなわち、法定代理人の場合は、その表示が訴状および判決の必要的記裁事項であり、本人に更正権がなく、本人に代わって出頭義務があり、常に送達受取人であり、証人能力がなく、その死亡または代理権の消滅は訴訟手続の中断事由となります。
訴訟代理人は受任事件につき、参加に関する訴訟行為をなし得るから、参加人の相手方または共同訴訟人として一切の攻撃防禦方法を提出し得ます。取消権の行使は、それを私法行為と解しても訴訟追行上代理権の範囲に属すると解することが妥当であるし、両性説・訴訟行為説をとれば、当然訴訟代理権の範囲に属することになります。Rの陳述は有効です。
RがYの協議を受けて賛助した場合およびYのRに対する協議の程度および方法が信頼関係に基づくときは、RがXのために職務を行なうことは禁止されています。この禁止規定に違反してなされた訴訟行為については、絶対無効説・追認許容説・有効説がありますが、現在では、判例および多数説は、Xの信頼利益を重視し、Yがこれを知りまたは知り得たにかかわらず異議を述べることなく訴訟手続を追行して弁論を終結させた場合は後日に至りその無効を主張し得ないとします。しかし、即決和解や公正証書の作成のような場合は異議を述べる機会がほとんどないので、疑問が残ります。
訴訟代理権は当事者たる法人の合併による消滅によって消滅しないから、通常の訴訟手続には影響しません。しかし、合併後に、受任していなかった特別委任事項につき訴訟行為をするためには、新会社Uもしくは新営業所支配人の特別の委任を受けなければなりません。

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