会社の代表

X電機株式会社が、Y商社を相手どって、納入した製品の代金二、〇〇〇万円の支払いを求める訴えを提起しました。訴状には、原告X電機株式会社、代表取締役Aと表示してあり、訴訟代理人Rが裁判所に提出した委任状も、AがX社を代表して作成したものです。しかし、訴状に添附して提出された代表者資格証明書によれば、X会社の代表取締役は、A、B、Cの三名です。
Aだけを代表者と表示したこの訴えは適法でしょうか。
X・Y間において請負契約が締結された当時、X社長においてこれを担当したのはBでした。X側としては、Bの尋問による供述を証拠としたいのですが、証人尋問の申請をすべきでしょうかか、それとも、当事者尋問の申請をすべきでしょうか。
第一審係属中にAが死亡しました。裁判所は、これに気づかず審理を進め、終局判決の言渡しをしました。これに対し、BがX社を代表して、訴訟代理人によらずに控訴を提起しました。この控訴は有効かつ適法でしょうか。
この場合に、Aが死亡したのではなく、取締役を辞任したとすればどうでしょうか。

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代表取締役が数名いても、共同代表の定めがなければ各自会社を代表できるため、Aの訴えは適法です。もし共同代表ならBとCを代表者として追加し、Aの訴え提起を全員で追認することにより補正すべきです。資格証明書(登記)上明らかでない共同代表である場合は登記の効力の規定の訴訟上における適用の問題となり見解が分かれます。以下では共同代表でないものとして考えられます。
会社代表者には法定代理人の規定が準用され、法定代理人は本人と同様に扱われます。かくて、Aを尋問するのは当事者尋問の方法によりますが、現に訴訟を追行しない他の代表者Bは第三者として証人尋問の方法によります。
訴訟代理人がいない場合、代表者の死亡は中断事由です。しかし他にも代表者がいる場合は中断の有無につき見解が分かれます。中断し ないと解すると、Bの控訴は有効・適法で、かつこれにより代表者の表示も訂正されたものと解しうります。次に、中断事由であると解した場合でも、唯一代表者死亡の場合と異なり、B、Cから代表権消滅の通知をしないと中断を生じないと解する余地もあります。当然中断説をとると、中断中の訴訟行為は無効ですが、判決はなされた以上無視できず上訴により取り消されねばならないと解されます。Bは第一審裁判所に受継を申し立てたうえ控訴するか、遅くとも控訴と同時に受継を申し立てないと、中断中の控訴として不適法却下を免れないが、却下の前に受継を申し立て相手方に異議なければ控訴は適法となります。控訴審は必ず原判決を取り消し、差し戻すべきです。上訴権のない訴訟代理人あるときは判決の送達とともに中断が生じるので判決は適法ですが、Bの控訴の効力は同じです。
退任による代表権消滅は死亡の場合と異なり相手方に通知しないと効力がなく、したがって中断も生じません。Bの控訴を通知と解せば、控訴審に係属するとともに中断し、その後の受継によって有効に控訴審手続が進行できます。

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