訴訟能力

Xは、商売が好きで、高校を卒業するとすぐに単独で小豆の取引を姶めましたが、取引先のYから受け取った約束手形が不渡りとなったので、Yを相手どって手形金支払請求の訴えを提起しました。
口頭弁論期日には、X自身が出頭して弁論していますが、第三回の期日にいたって、裁判所は、Xがまだ一八歳であることに気づきました。裁判所はどう処理すべきでしょうか。また、それまでにXのした訴訟行為の効力はどうなるのでしょうか。
第一審では、裁判所は手形要件の不備があるとして、Xを敗訴させました。この判決に対し、Xは控訴を提起しました。控訴裁判所がXは未成年者であり、かつ法定代理人から営業の許可を得てもいないと判断した場合、控訴についてどのように判決すべきでしょうか。また、この判決はXに送達すべきでしょうか、それとも、Xの法定代理人に送達すべきでしょうか。
Xの法定代理人としてその両親A・Bが訴訟を続けていたとします。Xは、まもなくF子と結婚式を挙げ、翌日、婚姻届を市役所に提出しました。訴訟手続はどのような影響を受けるでしょうか。
養親A・Bが、未成年者である養子Xに対し、離縁の訴えを提起しました。Xの側で訴訟追行に当たるのはだれでしょうか。

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Xが法定代理人から設問のような営業をなす許可をえていれば問題はありませんが、そうでないときは訴訟無能力者です。民法上は未成年者の法律行為は取り消されるまで有効とされますが、訴訟法上は手続の安定をはかるために当然に無効とされています。しかし無能力者の訴訟行為でも必ずしもその者に不利なものばかりとはかぎらないから、追認が認められます。それ故、裁判所としては期間を定めてその補正を命ずべきであり、それまでは訴えの却下を猶予しなければなりません。法定代理人または成人したのちにXが追認すれば、行為の時に遡って有効となります。また補正をまっていたのでは遅滞のため、Xに損害を生じるおそれのあるときは、一応訴訟手続を進めることを許すことができます。ただし将来追認がなければ、すべて無効になります。
訴訟無能力者の訴訟行為は無効ですが、一審判決がそれを看過して判決をした場合、無能力者のなした控訴提起行為を無効とみて、控訴だけを不適法として却下すると、一審判決が確定してしまうことになり、訴訟能力のないことを主張する機会を奪うことになって不当であるから、むしろ控訴を認容して第一審判決を取り消した上で、自ら訴えを却下する裁判をなすべきです。このように無能力者であっても適法に上訴できるから、判決はXに送達すればよく、もしXが上訴期間を徒過すればその判決は確定します。
Xは成年に達したものとみなされるため、法定代理人は代理権を失いますが、本人または代理人から相手方に通知しないかぎり、その効力は生じません。また本人が直ちに訴訟行為をなしうるため、訴訟手続の中断は生じません。
一般に人事に関する訴訟においては、訴訟無能力者でも意思能力のあるかぎり自ら有効に訴訟を追行しうります。これは身分上の行為はできるだけ本人の意思に基づいてさせようとする民法の態度に対応するものです。この場合、Xの現実の訴訟追行能力を袖うために、裁判所は申立によりまたは職権で弁護士を訴訟代理人に選定できます。離縁の訴えについては、養子が満一五歳未満のときは、縁組につき承諾権を有する者を相手方として訴えることができ、あるいはこの代諾権者が養子を代理するのも妨げません。

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