根抵当の被担保債権の確定

民法は、三九八条ノ二〇に、一応確定事由をまとめて規定しています。しかし、それ以外にも様々な確定事由を定めています。なお確定事由が生じると直ちに確定する場合もありますが、一定の期間の後に確定する場合もあるので、注意を要します。
根抵当権設定当事者は、元本の確定期日を定めることができます。これを定めた時は、確定期日の到来した時に確定します。なお、確定期日を変更した場合、旧期日について登記あるときは、その期日前に変更登記をしないと、旧期日で確定することになります。根抵当権者または債務者に相続が開始した場合に、相続の開始後六力月以内に、合意の登記をしないと、相続開始の時に確定したるものとみなされます。根抵当権者または債務者に合併があるときに、根抵当権設定者が、確定を請求すると、合併の時に確定したるものとみなされます。確定期日の定めのないときは、根抵当権設定者は、設定の時より三年を経過すれば、確定請求をなしえ、請求の時より二週間を経過すると確定します。

スポンサーリンク

お金を借りる!

民法三九八条ノ一九は、確定期日の定めのない根抵当権について、設定後三年経過すると設定者が確定請求という一方的意思表示により、元本を確定しうることを定めています。確定期日の定めのない場合には、設定者が長期間にわたって根抵当権による拘束をうける不利益を生じるため、これより救済するために本制度が置かれたのです。債務者が設定者であるときは、取引関係を終わらせるより、確定せしめることができるために、物上保証人、第三取得者が設定者である場合に、活用されます。民法が特定の継続的取引についてだけでなく、一定の種類の取引といった、かなり包括的な取引より生じる債権を担保せしめることを認めたことによる設定者側の長期の拘束を解放するために設けられた制度です。
担保すべき債権の範囲の変更、取引の終了、他の事由に因り担保すべき元本の生ぜざることとなりたるときに確定します。担保すべき債権の範囲の変更による場合とは、例えば特定債権のみを被担保債権の範囲とした場合です。取引の終了とは、被担保債権の範囲として定められている特定の継続的取引または一定の種類の取引が終了した場合です。かかる取引が終了すれば、継続して発生する不特定の債権を担保するという根抵当の特性を保持させる必要はなくなり、したがかって確定事由とされています。しかし実際間題としては、取引が終了したか否か、終了したとすればいつ終了したかが間題となります。
他の事由とは、当事者の合意によって確定せしめる場合とか、特定の原因を被担保債権の範囲とした場合に特定の原因が消滅した場合があげられています。
根抵当権者が、抵当不動産につき競売または、物上代位による差押を申し立てたとぎに確定します。ただし、競売手続または差押のあったときに限ります。
根抵当権者が、競売をしたときとは、当該根抵当権に基づく場合に限らず、一般債権に基づく強制競売でも、同一不動産上の他の担保権に基づく場合でもかまいません。
申立があっても、取下等の理由で、競売手続が開始されず、または差押がなされなかった場合には確定しません。しかし競売手続が開始し、差押がなされると、その後に取り消され、その効力が消滅しても、一たん生じた確定の効力は消滅しません。この点は第三者が競売等をなした場合と異なりますが、これは根抵当権者自らが、取引を打ち切る意思を示したものであるからです。
根抵当権者が抵当不動産に対し滞納処分による差押をなしたときに確定します。滞納処分により債権を徴収する場合に限られるために、国または公共団体が根抵当権者である場合に本号か適用されます。根抵当権によって差し押さえる場合に限らず、他の債権によって差押をした場合を含みます。なお、差押の効力が消滅しても、確定の効果は残ります。
第三者による抵当不動産に対する競売手続の開始、または滞納処分による差押ある場合には、根抵当権者が、かかる事実を知った時より二週間を経過すると確定します。根抵当権者以外の第三者により競売、滞納処分がなされた場合です。
かかる競売手続の開始または帯納処分による差押あることを知った時から二週間径過したときに確定します。共有根抵当の場合には、すべての共有者が知ってから二週間経過して確定します。その間に根抵当権者に、適当な処置をとらしめるためです。なお、新法の制度にともない民事訴訟法六五三案ノ二および、競売法二七柔一項を新設ないし改正し、裁判所は競売開始決定をなすときは、根抵当権者に通知すべきものとされ、国税徴収法五五条は、帯納処分の差押がなされたときは、税務署長は根抵当権者に通知すべきものとされています。かかる通知到達により、根抵当権者は、競売手続の開始、差押を知ったと推定されます。
国税徴収法が、国税に優先する根抵当権の国税に優先して弁済をうける債権元本額を、国税に基づく差押または交付要求の通知をうけた時における額を限度と定めていることと、本条との関係が間題とされています。この国税徴取法の定めは、根抵当不動産が差し押えられた場合に、その根抵当権はいつ確定するかについて学説、判例の確定していない時に規定されたものであり、民法により二週間後に確定するものと規定された以上、国税徴収法もこれと歩調を合わせるべきであるとされています。
第三者の申立による競売手続の開始または差押があった後でも、その効力が消滅したときは、確定するものとみなされています。この場合は、根抵当権者の意思に基づくものではなく、また根抵当権者が債務者に融資して、競売の申立の取下をさせるといった途を閉すべきではないという考慮に基づくものです。もっとも、元本が確定したるものとして、根抵当権またはこれを目的とする権利を取得したる者あるときは、確定の効力は消滅しません。例えば根抵当権を取得したるものとしては、被担保債権を譲りうけた者、被担保債権を弁済して代位した保証人、根抵当権を目的とする権利を取得した者としては、転抵当権を取得した者、根抵当権者から順位の譲渡をうけた者が存在する場合には、確定の効果が消滅したものとすると、これら第三者の利益を害したり、法律関係を複雑化するからです。共同根抵当においては、一つの不動産につき確定事由が生じると、全不動産上の根抵当権が確定します。
債務者または根抵当権設定者が破産の宣告をうけたとき、この場合にも、第二項が適用され、破産宣告の効力が消滅した場合には確定の効力が生じません。根抵当権者自らが破産の申立てをした場合にも本項が適用されます。

お金を借りる!

債権がないのに抵当権の実行/ 債権者の競売申立てと抵当権者/ 共同抵当権の実行/ 抵当権設定者の破産/ 不動産の一括売却/ 不動産の一括売却/ 根抵当権の被担保債権/ 根抵当権の被担保債権の範囲/ 根抵当権によって担保される債権/ 根抵当権の変更/ 根抵当権の譲渡/ 相続、合併と根抵当権/ 根抵当権の処分/ 共同根抵当権/ 根抵当の被担保債権の確定/ 根抵当権の第三取得者の地位/ 工場の担保化/ 工場抵当/