共同根抵当権

甲、乙二つの不動産の上に、被担保債権を共通にする根抵当権が設定されている場合を一般に共同根抵当といいます。この共同根抵当においては、次のような間題が生じます。民決では、普通抵当における共同抵当について、三九二条、三九三条の両案を置いています。これによって、共同抵当権者と後順位抵当権者間の公平をはかることとしています。この両条文が、共同根抵当にも適用されるかが問題となるのです。この点について、民法では共同根抵当につき、三九八条ノー六以下、三カ条の条文を定め、法律関係を明確にしています。これによると、同一の債権の担保として設定された場合、具体的には、被担保債権の範囲も債務者も極度額も同一の場合に、設定と同時に、同一の債権の担保として設定せられたる旨を登記したる場合に限り、三九二条、三九三案が適用されるものとしました。そして、それ以外の場合、つまり、同一の債権の担保として設定されたのでない場合、それから、同一債権の担保であっても、かかる旨の登記のない場合には、三九二条、三九三条を適用しないものとしました。前者は、あるいは単に共同根抵当、あるいは狭義の共同根抵当あるいは、純粋共同根抵当と呼ばれ、後者は、累積共同根抵当または果積根抵当と呼ばれています。ここでは、三九二条、三九三条の両条の適用ある場合を狭義の共同根抵当といい、適用なき場合を累積根抵当と呼ぶこととします。

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例えば、甲乙両不動産について、被担保債権を共通にする極度額100万円の根抵当権が設定されたとします。狭義の共同根抵当の場合には、根抵当権者が甲乙両不動産について根抵当権を実行すると甲乙両不動産が150万円で競売されても100万円を限度として弁済をうけるのみであり、残金額50万円は三九二条によって、後順位の担保権者に配当されます。これに対して、累積根抵当だと、甲乙面不動産上は、それぞれ独立した根抵当権が成立しているのであって、甲、乙両不動産からそれぞれ100万円を限度として配当をうるのであって、合計200万円の配当をうけうるのです。
根抵当権者の側からみれば、累積根抵当の方が有利です。例えば当初甲不動産にだけ、根抵当権が設定されているが、さらに乙不動産にも追加的に根抵当権が設定される場合には、当事者の意図は、新たに100万円取引を拡大し、乙不動産で、それを担保せしめるにあるのが普通です。ところが、狭義の共同根抵当の関係が成立するとすると、乙不動産のみならず、甲不動産についても、極度額を200万円にする必要がありますが、極度額の変更は、後順位抵当権等の承諾を要するゆえに、この面からの障害があります。したがって累積根抵当の方が合理的であり、そこで民法では、これを原則的型としたわけです。累積根抵当では、甲乙不動産上の後順位抵当権者の地位は、根抵当権者がいずれの不動産より弁済をうけるかによって、不公平が生じますが、民法では、ここでも後順位抵当権者は、極度額までは優先されるということを覚悟する態度を貫いています。民法は、例外的に狭義の共同根抵当を当事者が選択しうる余地を残しています。これは建物と敷地、同一の敷地内の数筆の土地のように、一括して評価されるような目的物に根抵当権を設定する場合には、狭義の共同根抵当が実情に適合するといった事情を考慮した結果であるとされています。

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