根抵当権によって担保される債権

根抵当権により担保されている債権は、根抵当権の確定前においては、一定の範囲に属する増減変動する不特定のものです。この点で根抵当権は附従性との関係で特色を有します。この項目で扱うのは、その後、根抵当権が確定した場合、いかなる範囲の債権が根抵当権で保護され、優先弁済をうけうるかという問題です。民法三九八条ノ三第一項はこの点について、確定したる元本並に利息其他の定期金及び債務の不履行に因りて生じたる損害の賠償の全部に付き極度額を限度として根抵当権を行ふことを得る旨規定しています。注意すべぎ点は、担保されるべき元本債権は、根抵当権確定の時点に存在するものに特定されることです。したがって、それ以後に発生する元本債権は、当事者間の設定行為によって定められた被担保資格を有するものであっても担保されません。廻り手形による債権については、同条二項で、別の観点から、一定の制限が設けられています。次に、利息、遅延賠償は、確定時に存在するものが担保される他、その後に発生するものも担保されることになります。これは、確定により特定した元本からその後に生じる利息等は、利率、支払期日などによって、あらかじめ確定されていると考えられるために間題はありません。

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前掲条文は、さらに、前にあげた債権について、極度額を限度として、根抵当権を行なうことができるとしています。かつて、根抵当が立法化される以前、判例では、当事者間で合意される極度額には、元本極度額の定めと債権極度額の定めと二種のものが認められていましたが、この条文で後者に一本化されました。したがって、極度額に至るまでは、何年分の利息等であれ、根抵当権によって担保され、反対に、極度額を超えては、二年分の利息といえども担保されないことになります。
このように、元利合計金額が極度額を超える場合には、根抵当権を行なうことのできる範囲は極度額に限られるのですが、このことは、競落代金を極度額の範囲で支払ってもなお余剰があり、しかも、後順位担保権者などの配当を要求しうる者がいない場合にもあてはまるかでは、この場合、余剰は、債務者が同時に根抵当権設定者であったとしても、当該競売手続内では常に、根抵当権者には交付されえないのでしょうか。この間題の結論は極度額のもつ意味をどうとらえるかによって異なります。つまり、それを、民法三七四条が普通抵当権について定めるのと同様、優先弁済権の範囲の限定と考えるべきか、あるいは、それを超えて、担保的価値支配の限度ととらえるぺきかでは、前者とすると、極度額をこえて根抵当権者に配当することは可能ですが、後者と考えると、余剰は根抵当権設定者に交付すべきことになります。裁判所における執行実務は後者を前提としてなされているようであり、最高裁も同様の判断を示しています。

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