根抵当権の被担保債権の範囲

民法では、根抵当権によって担保されるべき不特定の債権たりうるものの資格については、設定契約中に、一定の範囲で定めることを要求し、その定め方としては、取引によって生じる債権と、取引によらないで生じる債権に大別して、その基準を規定しています。取引によって生じる債権については、民法はさらにこれを二つに区分し、その一として債務者との特定の継続的取引契約に困りて生ずるものをあげています。これは、ある当事者間に、根抵当権で担保されるような反復、継続的な取引上の債権の発生状熊が生じる場合には、その取引の開始に先立って、そのような取引を開始することを合意し、かつ、その継続的な取引に通用される基本的な取引案件を定める契約が締結されることが多いと予想されるので、根抵当権の被担保債権も、その基本契約によって生じる債権、として定めることができるというのです。もちろん、そのような基本契約から直ちに具体的な金銭債権が発生するというのではなくて、その基本契約に基づいて、当事者問に日々行なわれる箇別契約から当該根抵当権で担保されるべき債権が反覆継続して発生する、ということになります。これによる場合、実務上は、根抵当権設定契約中に、当該基本契約の日付と名称を被担保債権の範囲として定め、根抵当権設定登記申請書にも同様にこれを記載します。

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被担保債権たるべきものの範囲を定めた場合に、ある債権がその根抵当権により担保さるべき資格を有するか否かが争いになったときは、当該基本契約の趣旨に照して、その可否を決定することになります。
次に民法は、同じく取引によって生じる債権として、債務者との一定の種類の取引に困りて生ずるものを根抵当権の被担保債権の範囲として定めることを認めています。これは、根抵当権によって担保される債権が発生すべき当事者間の取引関係を、いわば抽象的に、法律的に分類し、その区分に該当するような種類の取引から生じた債権を根抵当権の被担保債権とする、という定め方です。例えば当事者間の取引が売買であるならば、売買という種類の取引から生じる債権がその根抵当権で担保されるということになります。これによる場合、実務上は、根抵当権設定登記申請書に、被担保債権の範囲として、○○取引、という形でこれを記載することが要求されているので、設定契約中にも同様の形で取引の種類を記載しています。
なお、取引によって生じる債権を担保させる場合、被担保債権の範囲を、特定の維続的取引契約によって生じる債権とするか、一定の種類の取引によって生じる債権とするか、のいずれか一方しか選択できないというのではなく、両者を組合わせることが可能であり、また、例えば売買取引、金銭消費貸借取引、賃貸借取引というように、いくつかの種類の取引を組合わせて被担保債権の範囲を定めることも妨げません。
取引によらないで生じる債権を根抵当権で担保しうる場合として、民法が定めるものは二種類あり、その一が、手形上若しくは小切手上の請求です。取引によって取得した手形または小切手に基づく、債務者に対する請求権については、特にこれを披担保債権の範囲としてかかげる必要はありません。例えば売買取引を被担保債権の範囲とした場合には、売主の代金債権はそれが手形化しているものもいないものも、いずれもその根抵当権で担保されることになります。したがってここで対象となるのは、債務者との取引によらないで根抵当権者が取得した手形、小切手に基づく、債務者に対する請求権であって、具体的にはいわゆる廻り手形、小切手による請求権がこれによって担保されることになるわけです。例えば甲乙間に取引が行なわれている場合でも、乙が丙にあてて抜り出した手形が裏書されて丙から甲に譲渡されたというときは、その廻り手形による甲の乙に対する手形上の請求権は、甲乙間の取引によって生じた債権ではありません。したがって、乙の甲に対する取引上の債務の担保のために根抵当権が設定されていても、当然に、その根抵当権がこの廻り手形による甲の乙に対する請求権を担保することにはなりませんが、このような請求権がその根抵当権で担保されるようにするためには、被担保債権の範囲として、手形上若しくは小切手上の請求権も定めておけばよいわけです。なお、このようにすることによって担保されるのは、必ずしもいわゆる廻り手形による場合にとどまらず、甲が取得した手形において乙が手形債務者となっているすぺての場合、すなわち乙が振出人、引受人、裏書人もしくは保証人となっている場合を含むと解されますが、この点については譲受債権等に関して間題があります。

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