抵当権設定者の破産

抵当権は物権であるために、設定者が破産しても、抵当権はその効力を奪われるべきではないために、抵当権者は破産法上は別除権者とされ破産手続によらないで、抵当権本来の実行方法によって権利を行使できます。ただし別除権が認められるためには、その抵当権が第三者に対抗しうるものでなければならないために、破産宣言前に設定登記があるか、あるいは宣告後に破産法五五条の要件を満たす設定登記がなされたことを要します。第三者に対抗しうる抵当権であっても、抵当権設定契約の締結ないしは設定登記をするにつき否定事由のあるときは破産管財人は否認権を行使して別除権の存在を否認できます。否認訴訟はもとより一般に抵当権の在否につき争いがある場合は、破産宣告後は破産財管人との間で処理されることになります。10万円以上の価額の別除権を管財人が承認するには、監査委員の同意あるいは債権者集会の決議ないしは裁判所の許可を得なければなりません。

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別除権を有する抵当権者は、破産手続によらず、抵当権本来の権利実行方法である不動産競売をなしえます。その際に破産管財人を相手方とすべく、破産者は任意競売における利害関係人とはみられません。破産者を相手になされた不動産競売が破産宣告時に存在するときは、以後は管財人との間で競売手続を続行しうる抵当権は物上代位性を有するために、抵当権の目的物が転価した変形物に対しては、払渡または引き渡される前に差し押えることによりその変形物に対しても別除権を行使することができます。抵当権の効力の及ぶ従物のみが処分されるときは、抵当権者はその従物を取戻すことができます。
別除権者が目的物を所持するときは、その旨および債権額を管財人に届け出ることを要し、管財人は別除権者に対し目的財産の提示を求めてこれを評価することができ、また被担保債権を弁済して目的物を受け戻すことができます。そして別除権者が別除権を行使しないときは、管財人は民事執行法その他強制執行の手続に関する法今の規定によって別除権の目的物を換価することができます。この場合に、別除権者は換価代金から優先弁済を受けますが、その受くべき金額が確定していないときは、管財人は代金を別に寄託すべく、別除権は代金の上に存続します。もし管財人が寄託しないで破産財団に組み入れたときは、別除権者は財団債権者としてその権利を行使できます。一般に、別除権者が法定の方法によらないで目的物を処分する権利を有するときは、破産裁判所は管財人の申立によってその処分をなすぺき期間を定め、別除権者がその期間内に処分をしないと、その特別の処分権能を失い、管財人が前述の方法で換値できるようになりますが、抵当権については、法定の方法によらないで処分する権能はありません。流抵当は登記方法がないために、流抵当の特約があっても、第三者に対坑できないからです。なお、管財人は別除権の目的たる財産をその負担つきのままで換価することもでき、別除権者はこれを妨げることはできません。
抵当権設定者が同時に債務者である場合は、被担保債権は破産債権たる性質を有することになります。そこで破産債権者としての権利の行使が間題となりますが、別除権者は、その別除権を放棄しないかぎり、別除権の行使によって弁済を受けることができない債権額についてのみ破産債権者としてその権利の行使を認められます。この不足額についての権利行使の方法は、原則として一般の破産債権のそれと同様ですが、次の諸点に相違があります。まず、別除権者は債権の届出の際に債権の全額、別除権の目的物および別除権の行使によって弁済を受けることのできない債権額を裁判所に届け出るべく、債権調査は債権の全額および予定不足額につきなされます。もっともこの不足額の確定は結局は暫定的なものであって、配当については、各配当の除斥期間内に目的物の処に着手したことを証明し、かつ、その債権の残額を疎明しなければ配当から除斥され、しかも処分が終了し残額が確定するまで配当額は寄託され最後の配当の除斥期間内に処分の結果確定した不足額を証明しないと、配当から完全に除斥されてしまいます。別除権の行使による不足額の計算については、民法の弁済充当の順序に関する規定によります。破産債権者として債権者集会における議決権の行使につき、行使しうる議決権の債権額は別に裁判所が定めることになっています。
更生会社の財産上の抵当権で対抗力のあるものは更生担保権とされます。破産の場合のように、担保権者に個々的な権利行使を認めると、会社財産は分解、散逸してしまい、企業の更生復活は期待できなくなるために、会社更生法は、原則として、更生担保権者にも更生手続によらない権利行使を禁じ、これらの者を更生手続に参加させ、その手続内で権利を行使させることにしています。更生手続に参加するためには、更生担保権者は一定の期間中に法定の諸事項を届け出た上、更生担保権調査期日に調査を受けなければなりません。手続きに参加しなかったため、更生計画上認められていない更生担保権は、更生計画認可決定があるとその後は失権します。しかし更生担保権者は更生計画ではもっとも優先的に取り扱われます。そして更生担保権の期限の猶予を定める更生計画案を関係人集会で可決するには、更生担保権者の組において議決権を行使することのできる更生担保権者の議決権の総額の4分の3以上に当たる議決権を有する者の同意を必要とし、また更生担保権の滅免その他期限の猶予以外の方法によりその権利に影響を及ぼす計画案の可決については、議決権を行使できる更生担保権者の議決権の総額の5分の4以上に当たる議決権を有する者の同意を必要とし、この法定の同意が得られないにもかかわらず計画案を変更して認可するためには、更生担保者の利益を保護するための厳重な措置を講ずることが必要です。もっとも更生担保権を有する者が更生担保権者として取り扱われるのは、その被担保債権の全額についてではなく、担保権の目的物によって担保される限度においてであり、目的物の価額を超える部分については更生債権者として権利の行使ができるのみです。もし先順位の担保権があるときは、先順位の担保権によって担保されます。債権額を担保権の目的たる物件の価額よりさらに控除した額が更生担保権の額となります。そして担保権の目的物の価額を定めるには、会社の事業が継続するものとして評価した更生手続開始時の価額を基準とします。更生担保権者はその有する更生担保権をもって関係人集会に参加し議決権を行使します。被担保債権が期限付無利息債権、定期金債権、非金銭債権、案件付債権などである場合には、更生債権の場合に準じて議決権の額が決定されます。抵当権が否認されることがあることは破産の場合と同様です。
被担保債権額より担保権の目的物の価額が少ない場合に、その差額分は更生債権と扱われます。更生債権についても、手続外における個別的な権利の実現が禁止される反面で、手続に参加する資格が認められ関係人集会に出席して、更生計画案の審理、決議に加わり更生計画の定めるところにより満足をうけられます。そのためには債権の届出、調査等の参加の手続をとらねばならないのは、一般の更生債権の場合と同様です。

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