債権者の競売申立てと抵当権者

債権者の競売申立を受理すると、裁判所は、競売手続を開始する決定をします。そして差押えの登記も行ないます。その後に、配当要求の終期を定めますがこの配当要求の終期を定めたところで、裁判所の書記官から、抵当権者に対して債権の届出を催告します。この催告に応じて、抵当権者は、自己の被担保債権の存在、発生原因、元本額、利息の率、額、などを届け出なければなりません。もし抵当権者がこの届出を怠っても、後に述べる弁済を受けられないわけではありませんが、故意または過失によって、この届出をしなかった場合、あるいは不実の届出をしたときには、これによって生じた損害を債権者などに対して賠債しなければなりません。

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配当要求の終期が到来すると、裁判所は不動産の最低売却価格を定め売却期日を開き、そこで最も高い値段をつけた買受申出人を決めるとともに、この者にはたして買受けさせてよいものかどうかを決定するため、さらに、売却決定期日を開きます。この売却期日、また売却決定期日を開く日時、場所は、一々抵当権者に通知されます。抵当権者は、この売却期日、特に売却許可決定期日に出席して、売却の許可について自分の意見を述べこの意見が聞きいれられないときには、法定の要件が備わるかぎり、執行抗告をすることができます。
売却を許可する決定がなされ、買受人が定まると、買受人はその申し出た売却代金を、裁判所に納付しなければなりません。そして、この売却代金を納入するのと引き換えに、不動産の所有権を取得します。この不動産の所有権を取得するとともに、その不動産上に存在した先取特権、抵当権などは消滅します。
抵当権者が、その意思に基づかないで、他の債権者の競売申立によってはじまった執行手続において、その抵当権を失うというのは、一見すると本意に反するように見えますが、抵当権付のままで不動産を売却すると、どうしてもその不動産の買受希望者を探しにくいのと、彼にも一応弁済がなされ、彼としても抵当権を有してきた目的を達成できるので、このように不動産の売却と同時に、抵当権も消滅するという思いきった効果を認めたのです。
旧法のもとでは、不動産質権は買受人に引き受けられることになっていたので、不動産質権に順位の点で先立つ抵当権、先取特権なども、不動産質権と同様買受人によって引き受けられるかどうか、争われていましたが、民執法では、かかる不動産質権も先順位の抵当権などとともに消滅すると定めたのでこの争いは解決しました。
買受人に不動産が売却されると同時に、抵当権も消滅するのですが、もとより、無料で抵当権が消滅するわけではありません。買受人から納入された代金などから、抵当権者に対してその被担保債権額、利息額などについて弁済が行なわれます。この弁済は代金などの額と、担保権者、他の債権者の債権の総額に応じて、次の二つの方法のいずれかにより行なわれます。なお、いずれの方法による場合も、抵当権者は、あらかじめ計算書を提出しなければなりません。もしこの計算書を提出しないときは、先にした債権の届出の記截により、また、この債権の届出もしていないときは、登記簿に記載された基準に従い弁済が行なわれます。
買受人の納入代金などが、担保権者、他の債権者の債権総額をカバーできるとき、つまり、これらの権利者の債権総額を全部弁済できるときには、別段の手続は開かれず、先に述べた計算書などによって弁済が行なわれます。
買受人の納入代金などが、権利者の債権総額を全部弁済できないときには、配当手続という特別の手続が開かれます。抵当権者を含む各権利者は、定められた期日に呼出しを受け、裁判所の作成した配当表について、自己に割当てられる配当額、率、または、他の権利者に割当てられる配当額、率について、それぞれ異議を申し立てることができ、相手方である権利者が、この異議を承諾しないときには、配当異議の訴えを起こすことになります。裁判所では、配当期日において異議のない部分、配当異議の訴えが落着した部分について、配当を行ないます。なお、この配当手続において、抵当権者は、買受人の代金などが、権利者の債権総額を全部弁済できないからといって、自己の被担保債権額、利息額などについて弁済を受けられない、ということは心配する必要がありません。もしこのように被担保債権額などを弁済できない、ということが見込まれたときには、裁判所はそもそも執行手続きの進行を認めないという建前がとられているからです。もっとも、これは、前述した金銭債権者が競売申立をした場合であって、他の担保権者がその担保権の実行を求め、しかも彼の担保権が、抵当権者のそれに優先するときには、まず彼に弁済が行なわれ、余剰があるときにはじめて、抵当権者に対して弁済が行なわれます。また、この配当手続において、配当にあずかりうる抵当権者は、その設定登記が、差押えの登記の前にすでになされている抵当権者にかぎる点も注目に価いする同じことは、前述のとおりで、買受人の代金などが権利者たちの債権総額を全部弁済できるときにもあてはまります。差押えの登記の前にすでに本登記をすましている抵当権者は、ただちに弁済にあずかりうるとし、まだ仮登記のままのときは、一且弁済額は供託されたのち本登記に移行したときに弁済にあずかりうることになります。

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