遺留分の役割

遺留分とは、一定の相続人が法律上取得することを保障されている相続財産上の利益の一定額であって、被相続人の贈与や遺贈などの処分によってもこの利益を害することができないものです。遺留分を害された相続人はその滅殺を請求できる。そもそも私有財産制度の下では、被相続人はその生前に財産を他人に贈与、遺贈し、または各相続人の相続分を定めるなど、自由に財産を処分できる建前になっています。そうかといって、相続財産が全部他人のために処分されてしまったならば、相続人の営むべき家族的生活の物質的基礎は失われ、その生活は破壊される恐れがあります。この財産処分の自由と、相続人の生活の保障または共同相続人間の公平な財産相続という要請の調和を求めようとする点に、遺留分制度の存在意義があります。今日では、ほとんどの国が広義の遺贈分制度を採用しているといえます。代表的なものとしてはドイツ民法型とフランス民法型が挙げられます。遺留分を認めなかったイギリス法も1938年以来、家族供与法を持っています。日本の民法はフランス民法にならって、相続分的構成をとる遺留分制度を採用し、当初は家のための財産留保の制度として成立していましたが、現在では遺族の生活保障という点におきかえられています。現行法が遺留分権利者を直系卑俗、配偶者、および直系尊属に限定しているのは、近親者の扶養や生活保障を目的としていろことが明らかです。

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相続人が遺留分に基づいて被相続人のなした贈与または遺贈を滅殺することができる権利を遺留分権といいます。遺留分権利者は、民法上、相続人たる直系卑属、直系尊属および配偶者と定められています。被相続人の兄弟姉妹は、遺留分権利者ではありません。遺留分権は、これを行使するかどうかは自由であり、一年の短期消滅時効にかかるほか、家庭裁判所の許可をうければ事前に放棄できることになっています。この遺留分権を放棄しても、相続人たる地位を失うことはなく、また、共同相続人の一人が遺留分権を放棄しても、その者だけが減殺請求できなくなるのみで、他の共同相続人の遺留分は増加しません。
遺留分権利者が被相続人の財産に対して有する遺留分の割合額については、民法では昭和55年の改正により、直系尊属のみが相続人であるときは被相続人の財産1/3であり、その他は1/2であるとしました。改正前は、直系卑属のみ、または直系卑属と配偶者が相続人であるときは、被相続人の財産の1/2であり、その他の場合は1/3であったのを、配偶者が相続人である場合の遺留分を増加させたのです。相続人が数人の場合は、遺留分額は相続分の決定に関する規定の準用により各自の相続分に応じて分配します。代襲相続人の遺留分も同様です。

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