遺産分割の実施基準

分割は各共同相続人の相続分の割合に応じて個々の財産を配分するのですが、相続財産は実際上各種のものがあり、土地、家屋、家財道具、有価証券、現金などの財産をどの相続人にどれだけ配分するかは、具体的事牛に応じて異なります。それに相続人にも主観や個性があるために、一般的に分割の基準を定めることは困難です。そこで民法はきわめて一般抽象的に遺産に属する物又は権利の種類及び性格、各相続人の職業その他一切の事情を考慮して分割すぺきだという指針を与えました。この点につき、昭和55年の改正では、相続人の年齢、心身の状態、生活の状況をも考慮すべきことを要請しています。年少者、身体障害者、住居を必要とする者につき配慮ができて妥当な改正といえます。

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昭和55年の民法の改正により寄与分制度が新設されました。これは相続人中に被相続人の家業である農業や自家営業に従事してその事業に協力するなどの方法により、その財産の維待または増加に特別の寄与をしていながら、これに対する相当の対価を得ていない者がある場合において、寄与相続人と他の相続人との間の衡平を実現するために、寄与相続人に対し、遺産の分割に当り、寄与の方法や程度などその事情に応じて相当額の財産を寄与分として与えようとするものです。このように寄与分は相続人間の実質的公平を図ろうとするものであるために、内縁の妻など非相続人には、いくら貢献が大きくても寄与分は認められません。寄与相続人の寄与分の額は、まず共同相続人間の協議により協議できない場合は家庭裁判所の調停、審判によって決められます。そして、この寄与分を具体化するために、被相続人が相続開始の時において有した財産の価格から協議または裁判で決まった寄与分を控除したものを相続財産とみなし、900条から902条までの規定によって算定した相続分に寄与分を加えた額をもって当該寄与相続人の相続分とすることにしました。つまり、相続分を増加させることによって寄与分を具体化することにしたのです。
遺産の分割によって、相続財産に対する共同相続人の共有関係は消滅し、各共同相続人は、それぞれ単独所有者となるために、その効力は相続開始の時に遡って発生します。つまり分割によって、各相続人は、相続開始の時から、客自に分配された財産を直接に被相続人から単独で承継したことになるのです。これを遺産分割の遡及効といいます。例えば分割によってAが不動産、Bが株券を取得したとすると、A・Bは、それを相続開始の当初に被相続人から直接取得したことになって、共有関係ははじめからなかったことになります。そうなると、Bが分割前に遺産である不動産上の持分を第三者に譲渡していたら、第三者は不利益をうけます。そこで民法ではこれら第三者の権利を護る措置を講じたのです。
遺産を分割してしまった後に、新たな遺産が発見されたとか、遺産でない財産を分割したとか、相続人が新たに出現したとか、相続人でない者を加えて分割したということがわかった場合は、すでになされた分割の効力や救済手段が問題になります。場合によっては再分割ということになります。この点に関して、民法では共同相続人相互間に担保責任を認め、また、分割後に認知された者が現れた場合には価額請求を認めるという特則を設けています。

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