相続承継

相続が開始すると、被相続人に帰属していた一切の財産上の権利義務は、当然かつ包括的に相続人に移転します。相続は包括承継であるために、不動産や預金などの権利や借金はもとより、売買の途中で売主が死亡した場合には、その相続人に売主としての地位も移転します。これが相続は財産上の地位の承継であるといわれる理由です。

スポンサーリンク

お金を借りる!

遺産承継の時期は、相続開始の時つまり被相続人が死亡した時です。遺産の承継は、相続人が相続開始の事実を知っていたかどうかにかかわらず当然に行われるのであり、しかも、そのためになんらの意思表示や届出などの行為をする必要もありません。もっとも、相続人は相続開始の事実を知った時から3ヶ月以内ならば、相続を放棄して相続財産を承継しないことにすることもできるために、遺産承継の効果は相続の承認がなされたか、あるいは相続開始後3ヶ月を経過した時に確定するといえます。なお、遺産の承継は相続の開始によって当然生じるのであって、なんらの手続も必要もありません。相続の登記や名義書換えなども、相続の効力発生要件ではありません。不動産を相続した場合は移転登記をすることになりますが、この登記がなくとも第三者に対抗することができるのです。対抗要件として登記を要しないわけです。
遺産を承継する権利を相続権といいます。広く相続権という場合には、二つの意味があります。一つは相続開始前の相続人の権利を意味し、他は相続開始後に相続した者の権利を意味します。前者の場合は父(A)が死亡すれば子(B)が相続人になるわけですが、Aが死亡しないかぎり、BはAが死んだら相続人になれるという期待があるにすぎず、この期待も権利として保護するに値するかどうか疑わしいものがあります。これに対して、後者の相続が開始した後の真正に相続した者の相続権は、確固とした権利で保護に値します。この相続権が侵害された場合、例えば相続人だと潜称する者が遺産を占有しているときは、その侵害を理由に遺産の回復請求ができます。これを相続回復請求権といいます。他の共同相続人が自分の相続分以上の財産を占有している場合も相続回復請求の対象になると解されています。この相続同復請求権は5年の消滅時効にかかり、相続開始の時から20年経週したときも消滅します。
相続によって相続人が承継するものは、被相続人の一身に専属したものを除いた被相続人の財産に属した一切の権利義務です。不動産や動産の所有権、借地権、借家権、預金債権などの権利や借金や売掛代金債務などの義務のように、はっきりした権利や義務だけでなく、被相続人の売主たる地位や時効を主張できる地位も承継の対象になります。ただ、雇傭や委任に基づく権利義務や学術上の債務などは個人的ないわゆる一身専属的なものは相続の対象になりません。普通の保証債務は相続されますが、身元保証は個人的なものとして相続の対象にならないと解されています。慰謝料請求権は一身専属権ですが、生命侵害による財産的損害賠償とともに相続人において主張できると解されています。

お金を借りる!

相続の意味/ 私有財産と相続/ 相続人の範囲と順序/ 共同相続の場合の相続分/ 相続承継/ 相続人の財産承継の自由/ 遺産の権利関係/ 相続人が数人の場合の遺産の帰属/ 遺産分割の実施基準/ 遺言制度/ 遺言行為の特性/ 遺言の効力発生時期/ 遺贈/ 遺留分の役割/ 遺留分類の算定/