相続の意味

相続を一般的に定義づけることはきわめて難しく、相続の制度は歴史的社会的制約のもとに発達してきたもので、様々な形態の相続が考えられるからです。当初は祖名相続が中心であったといわれており、歴史上、祭祀相続、身分相続、財産相続が存在し、この順序で発達してきたものであると説明されています。したがって相統の対象は財産だけでなく地位や身分であったり、隠居の制度のように、人の死亡を原因としない生前相続もあったのであり、個人意思を重視する建前からは、法定相続のみならず遺言相続も考えられるわけです。それゆえに相続の概念は、各時代、各社会の特殊性に基づく法律制度に応じて決定されるのであって、一律一般的に定義づけることはできません。しかし近代社会では祖名相続、祭祀相続、身分相続の段階を経てこれを止揚し、財産相続に徹底しています。民法も近代的相続制度に従い、遺産相続の建前を明らかにしたのです。

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現行の実定相続法の下において相続というときは、死亡した人の遺産を、死亡者と一定の親族関係ある者が法律上当然に包括的に承継することであるといえます。この意味での相続は、遺言相続制をとる立場からは無遺言相続と呼ばれます。
相続は人の死亡を原因とします。現行民法上、相続は自然人の死亡という法律事実に基づいて開始します。明治民法では戸主の隠居や去家などの事由によって家督相続が行われ、いわゆる生前相続が認められてましたが、現行法の下においては、人の死亡のみが相続開始原因です。
相続は財産的法律関係の承継です。民法上、相続の対象はもっぱら財産上の法律関係になります。昔は祭祀の承継が相続の主な対象とされ、明治民法においても家督相続があり、戸主という身分的地位の承継を意味していましたが、現行法では純然たる財産相続としたのです。民法では被相続人の財産に属した一切の権利義務の承継といっており、したがって相続は財産上の権利義務の承継といってもよいわけです。しかし相続は、死亡者が有していた法律関係を死亡と同時に完全に打ち切らず相続人に承継させる意味もあるために、相続の定義としては権利義務の観念よりやや広く財産上の法律関係の承継とする方が妥当です。
相続は包括承継で、相続は原則として、被相続人の財産に属した一切の権利義務を包括的に承継するものであり、個々の権利義務が個別的に承継されるのとは異なります。相続がしばしば死者の地位の承継ないし人格の承継と呼ばれるのはこのためです。
相続は法定の身分関係ある者の間に当然に生じます。相続は法律の規定によって定められた一定の身分関係ある近親者の間においてのみ行われ、しかも相続人たる資格および順位は法定されています。したがって、これ以外の者は相続人となることはできないのです。この点で相続は、一定の身分関係の存在を必要としない遺言による財産の移転、承継である遺贈とは異なります。

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