先住者の騒音と後住者の受忍限度

商店の倉庫への賃物の搬入による人声や構内を車両がバックする際の警告音などについては、騒音規制法では規制基準を設けていませんが、同法で規制の対象としている特定工場でなくても、条例で必要な規制を定めることはできるために、行政上の規制の有無については、それぞれの地方公共団体の条例を調ぺる必要があります。
行政上の規制の有無とは別に、一般民事上の責任として、後から引越してきた人の安眠妨害を理由に、民法七○九条の不法行為責任を負うのか、という問題があります。これは、騒音の被害が受忍限度を超えるかどうか、の間題であり、先に住んでいるからといって、必ずしも責任がないとはいえません。受忍限度は、被害の程度、地域性その他双方の様々な事情を考慮して裁判所がケースごとに具体的内容を決めるものであるために、行政上の規制のように数量的に明確化することは困難です。どうしても、個々の裁判官の価値観が入り込むために、判断が分かれることも十分に考えられます。会社や公共機関の法律相談または法律事務所を訪ねて、事情を詳細に説明して相談する必要があります。
いずれにしても、建設資材などかさばる商品を扱う商店の場合には、トラックによる商品の搬入は当然予測されることであるために、後から居住するようになった人の受忍限度を判断するときは、居住者にとって、マイナス要素になるはずです。後から転居してきた人であっても、商店への深夜の商品搬入のため、現実に安眠を妨害されている人がいるのであれば、これを無視することはよくありません。被害者側は地方公共団体の公害担当課に相談に行くかもしれません。規制基準に違反していれば、深夜の商品搬入はできなくなります。当人が公害担当課へ行って相談し、騒音測定をしてもらうなど、進んで行政の規則に従う態度をとることも必要です。
裁判になれば、前述の受忍限度が問題になります。しかし、トラックそのものは運送会社が運行しているものだとすれば、トラックの運転手に対する指揮監督はできませんが、少なくとも商品搬入を受け入れるのですから、騒音については、共同不法行為として、当人も被告となり損害賠償義務を負うこともあります。不幸にして、被告として損害賠償請求の裁判を起こされたら、前述の受忍限度判断の様々な要素について、検討を加えて、行為に違法性がないことを主張するほかありません。

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