担保不動産評価額の考え方

基本になる担保不動産の評価額について、2つの考え方が認められます。その1つは、時価から融資期間中の価格の変動や、管理処分の難易などを考慮した額を差引いて評価額を定め、それに相手方の信用などを考慮して掛目を決定する方法です。この方法によると、担保不動産が融資期間中いつでもその債権を保全することができるわけで、最も無難な方法であるといえます。この方法は、主として不動産担保融資を専門とする金融機関などで用いられています。
もう1つの方法は、時価に掛目を乗じる方法で、主に都市銀行などの金融機関でとられている方式です。
この2つの方法を比べてみるとわかるように、まず掛目を乗じる評価額をどのような基準に基づいて求めるかということによって、掛目に対する考え方も異なってくることになります。例えば、後者の方式による場合には、不動産の担保比準は時価の6掛以内とし、というような総括的な規定が多いのですが、前者の場合の掛目は、対象不動産の態様に応じて、いくつかの区分を設けてあるのが普通です。担保不動産が更地のときはこの掛目、自用の建物およびその敷地を担保にとる場合の掛目はこれというように、事例に応じて適用する掛目の最高限を定めて、その範囲内で実情に即した掛目を定めるようにしてある場合が多いようです。そして掛目の決定は、債務者の信用とか、資金の使途、返済財源、融資期間の長短などの諸点についても考慮されたうえで、最終的に決定されるものです。したがって、こうしたことに対する判断の異同と、前記のような基本的な考え方の相違によって、ある場合には、同一物件に対する評価額が、2つの金融機関の間で50%以上もの開きが生じるようなことも珍しいことではありません。

スポンサーリンク

お金を借りる!

一概に、不動産担保の掛目はこうだ、というようないい方はできません。しかし、不動産担保に対する考え方が、時価に掛目を乗じて担保価格を求める後者の立場では、回収見込の確実なものや、損失保証のあるもの、もしくは特殊な場合を除いて、不動産担保の掛目は50%から60%程度が標準であろうとする意見が多いようです。また前者の考え方、つまり時価からリスク相当額を差引いて評価額を求め、これに掛目を乗じる立場では、不動産担保の掛目は最高70%から80%程度で、その範囲内で、案件に応じて適当な掛目を定めるという例が多いようです。
例えば、更地の場合の掛目は50%以内、ただし、貸地化などのおそれのない場合に限り80%以内にすることができるとか、あるいは自用の建物とその敷地を共同担保とする場合には75%以内、アパート、浴場などの特珠物件は45%以内、などという設定を設けているところもあります。いずれの場合も最高の掛日を示すものですから、個々の案件に応じて、この掛目以下になるものも当然でてくることになります。なお、戦前の日本および外国の例をみましても、特殊な場合を除いて、掛目というものは4分の1ないし3分の2程度が普通であったようです。
有価証券を担保にとる場合の掛目は、その有価証券の種別や銘柄によって異なりますが、また債務者の信用とか取引状況によっても違ってくるのが普通です。例えば、国債、政府保証債、府県債および6大都市債などは最高の80%から90%くらいの掛目となっている例が多く、以下、金融債および事業債などが70%から80%程度、株式では、1部上場株で60%から70%前後、2部上場株で50%から60%程度となっている例が多いようです。いうまでもなく、これらの掛目は最高を示すもので、この範囲内で、銘柄とか、値動きの激しいもの、あるいは債務者の取引状況などを勘案して、個別的な掛目が決定されることになるわけです。

お金を借りる!

信用調査/ 販売先に対して行なう信用調査/ 信用調査の手順/ 調査対象企業の検討/ 大企業と中小企業調査の相違/ 製造業調査と販売業調査の相違/ 企業の面接調査の必要性/ 企業の実地調査/ 経営者の経営能力調査/ 従業員の状態の調査/ 業界調査の目的と注意事項/ 生産技術の水準/ 立地条件の適否の判断/ 財務調査の意味/ 貸借対照表と損益計算書/ 包括主義計算と当期業積主義計算/ 監査報告書の内容/ 監査報告書の見方/ 企業の支払能力の考え方/ 支払能力の動態的と静態的の比較/ 経営収支と経営外収支/ 資金表の種類/ 運転資金の考え方/ 経営者と企業活動の運転資金/ 資金運用表の見方/ 財務諸表の粉飾/ 融通手形が出る原因と種類/ 税務申告書類での粉飾決算の有無/ 目標利益の決め方/ 見積財務諸表の機能/ 担保の意義と種類/ 不動産担保の注意点/ 工場の担保評価/ 担保不動産評価額の考え方/ 担保価格に変動がある場合/