工場の担保評価

工場を担保とする場合には、工場に属する土地や建物にそれぞれ個別に抵当権を設定する場合と、工場抵当法第3条による目録を提出して、工場に備付けられた機械器具その他工場の用に供するものにも抵当権の効力の及ぶ場合、および工場財団を組成する場合とがありますが、いずれにしても、基本になるのは個々の財産の評価にほかなりません。工場財団を評価する場合には、この他、有機体としての工場の収益価格も求めます。
工場の敷地、宅地の価格を求める場合には、主として市場資料比較法によって比準価格を求めます。この方法は、現実に取引された同類型の不動産の売買事例と対象不動産とを比較対照して、対象不動産の価格を求めようとするもので、この方法によって求められた価格を比準価格といいます。不動産を取引する場合には、誰でも取引しょうとする不動産の価格と同類型の不動産の価格とを比較して行動するもので、この方法は、現実の経済行為に即した方法といえます。

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工場の場合にも、近隣に同類型の不動産に関する売買事例があるので、この売買事例における内容、例えば立地条件、面積、あるいは取引条件とか取引事情などをできるだけくわしく調べて、売り急ぎとか買い急ぎなどの特殊な事情や条件は遮切に補正し、また取引時点が過去のもので土地の価格水準に変動があるような場合には、時点修正を行なったうえで、この工場敷地と比較対照して、その価格を求めます。この場合に留意すべきことの1つは、狭小面積の宅地と面積の広大な宅地の単価とは、その他の条件が全く同じであっても一致しない場合が多いことです。なおこの工場の敷地は東西に長い長方形になっていますが、接面道路の幅員とその位置、および開口の状況などが個格に大きく影響するために、注意を要します。工場用地ですから、接面道路の幅員は大型トラックなどが自由に通行できる程度の幅員が望ましく、また開口は広い方が有利です。さらに工場用地の評価に当たって留意すべき一般的な事項としては、工業用水、動力源、労働人口、道路事情、排水などの諸点があります。
なお、宅地に自用の自己所有建物が建っている場合、その敷地を建付地といいます。そして建付地の価格は、敷地と建物との関連で、最有効使用の状態にあるときに最も高く、最有効使用の状態にない場合には、その程度と状態に応じて幾分か減額して評価されますが、これを建付減価といいます。ですから、このような場合には、建物があるために土地の価格が更地としての価洛より多少とも安く評価される場合が生じることになります。したがって、建付地については、この建付減価に関しての考恵が必要です。
次に建物の価格ですが、付近に売買事例がないので、この工場建物の比準価格を求めることは困難のようです。建物、機械、装置、構築物などの価格を求める場合には、復成式評価法が特に有効な方法であるとされていますが、この復成式評価法というのは、求める時点において対象不動産を再生度または再調達するのに要する価格から、物理的、機能的および経済的要因によるそれぞれの減価相当額を差引いて、対象不動産の現在価格すなわち復成現価を求めようとする方法です。
そこで、この工場の建物の価格も、この方法によって復成現価を求めることになります。例えば、この建物は3年前に建てられたもので、比較的新しい建物で、建築当時の建築工事見積書、仕様書、精算書、設計図、建築確認申請書などの参考書類が入手できれば、これらの資料から実際に要した建築費を調べ、現物と対比して建築費が妥当なものであるかどうかなどを検討します。そして、これらの資料と現物とから適正と考えられる建築費を求め、この建築費について、3年前と現在の建築資材や労務費の価格水準の相違などを勘案して現在時点の価格に時点修正を行なうことによって、まず復成価格が求められます。
次に対象建物を詳しく調べて、以下の3つの減価要囚について検討します。つまり、1つは物理的要因による減価で、これは時の経過や自然的作用、あるいは使用中に生じる老朽化とか破損、磨滅などを意味します。それから機能的要因に基づく減価で、これは物理的要因による減価の程度にかかわりなく、その機能的な面からみた場合の、いわゆる機能的陳腐化による減価の要因をいうもので、例えばデザインや形式の旧式化とか機能上の欠陥の有無、あるいは建物と敷地の適応性といったことなどです。いま1つは経済的な減価、いわゆる経済的不適応による減価で、建物の近隣および環境との適合性、不動産の需給関係、あるいは賃貸料の動向などが検討されることになります。この3つの減価要因を考慮して求めた減価相当額を復成価格から控除して復成現価を求めるわけです。
具体的な減価相当額を求める方法には、耐用年数を標準とする方法と観察減価による方法の2つがあります。普通、この2つの方法を併用して減価相当額を求めます。なお耐用年数については、経過年数よりも、むしろ経済的な残存耐用年数に重点をおいて判断すべきですが、この場合の耐用年数と残価率については、減価償却資産の耐用年数等に関する省令を一応の標準にして、実情に応じて適切な補正をしたものを用います。
こうして、3棟の工場建物のそれぞれについて復成現価を求め、この価格に前記の宅地の価格を加算したものが、この工場の建物および敷地の評価額になります。なお、この工場の経理が独立して把握できる場合には、以上の方法のほかに、収益還元法を用いて、この工場の収益価格を求めて、前記の建物およびその敷地の価格を検証してみるのが望ましいことです。

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