不動産担保の注意点

不動産を担保にとる場合に調査しなければならないことはいろいろありますが、大きくわけると、書面調査と実地調査の2つがあります。不動産の価格は、その不動産の有する権利利益の価格であるといわれているとおり、まず担保にとる不動産に係る諸権利の実態を正確に把握しないかぎり、適正な価格を求めることはできません。したがって、調査の主要目的は権利の確認であり、また注意しなければならないことは、この権利の行使を制約する公法上、もしくは私法上の制限です。
まず担保不動産の所有者から権利証(正式には登記済証)、測量図、設計図、賃貸借契約書など関連する証拠書類の提示を求めて、必要事項を記録するとともに、当該不動産の入手事情、今までの権利の移動、現在の使用状況などできるだけ詳細に具体的に聴取っておくことが大切です。これによって、担保不動産について大体の認識をもつことができますし、これから調査するに当たって特に注意しなければならない事柄もわかってきます。なおこの段階で大切なことは、担保とする不動産を限定し確認することと、担保不動産の所有権者を確語すること、および当該不動産を担保に提供するという本人の意志を確認しておくことです。
不動産に関する権利を第三者に対抗するためには、その権利を登記することが必要ですが、これを公示制度といいます。日本ではこの公示制度に公信力が与えられていません。したがって、登記上の所有権者が、果たして真実の所有者であるかどうかについては保証がありませんので、この点注意を要します。

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本人からの聴取り調査が済むと、次に実行することは、いわゆる登記所(法務局、地方法務局)に行って、登記簿および公図を閲覧して、不動産の表示、所在地番、家屋番号、所有者、所有権の取得原因と時期、および抵当権、賃借、地役権、仮登記、差押え、予告登記などの有無とその内容などを調べて、必要事項は記録しておきます。また公図も写しをとっておくべきです。
いうまでもなく、賃借権や差押えなどの権利の付着したものは、担保として好ましいものではありませんし、先順位の抵当権や根抵当権が評価額一杯についているものも、一応担保としては不適格と考えられるので、こうした権利関係は見落しや見まちがいのないよう注意すべきです。
なお,土地台帳、家屋台帳の写しが市役所および町村役場などに備え付けられていて、これを閲覧することもできます。
書面調査のうえでいま1つ大切なことは、対象不動産が都市計画法、建築基準法、農地法などの公法上の制約をうけるものであるかどうか、制約があればそれはどのようなものか、などについて調査することです。この公法上の制限の有無とその内容如何によっては、不動産の価格はきわめて大きな影響をうけるばかりではなく、担保としての適格性にも関係してくるので、市役所および町村役場などで具体的に調査することが必要です。例えば、都市計画道路の指定地に編入されているような土地には建物に関する制限があり、2年以内に道路をつくることが事業決定されている場合には、建物を建てることができません。また、都市計画事業の施行地域で、住居、商業、工業、準工業等の用途地域、住居専用地区または工業専用地区、空地地区、高度地区、容積地区、防火地域または準防大地域、美観地区、風致地区、臨港地区、特定地区など都市計画法関係の地域地区が指定されているところでは、それぞれについて制限が設けられていますから、どの地区に指定されているか、そしてどのような制約をうけるかについて調査すべきです。以上のほか、土地区画整理事業の施行区域内にあるような場合には、その事業の進行状況によって、仮換地の指定前であるか、指定済であるか、もしくは換地処分済であるか、登記事務が停止されていないかなどが重要な調査事項になります。
また農地については、転用許可を得られるもののほか、耕作者でない者に対しては、所有権や用益権の取得設定または移転の行為は認められていません。もっとも、都市計画法が改正施行されますと、市街化地域に指定された地域内の農地については、転用詩可を要しないで宅地に変更することが認められることになるようです。このように大筋だけをひろってみても、調査に当たって注意しなげればならない事項はかなり多岐にわたっていますが、次のようなものは担保として好ましくないとされています。
所有権原に疑義のあるもの
公共の用に供されているもの、または公共性の強いもの
農地など処分に制限のあるもの
共有の物件で共有者全員の同意の得られないもの
入会地
訴訟または紛争中のもの
残存耐用年数の少ないもの
買戻契約など所有権に特約のあるもの
災害の発生のおそれの多い場所にあるもの
換価性に乏しく、管理処分が困難なもの
実地調査において最も基本的であって重要なことは、対象物件をまちがいなく確認することですが、わかりきったことなので案外おろそかにされ、とんだ間違いを犯している例を見受けます。それには隣地との境界。登記上の表示と実態の異同を確かめることが必要です。その場合、土地と建物の関係、公簿上の面積と実側面積の異同の確認、建物について登記の流用の有無、その他現状と公簿の不一致の有無などが主な注意事項になります。
このほか、現実の使用状態の確認、例えば借地人や借家人の有無や通行権など地役権の有無についても留意すべきです。
なお一般的な事柄としては、土地については、地積、地形、地勢、道路関係、環境、ガス、上下水道などの公共施設の有無、駅、商店街、学校、病院、官公署などへの接近条件、屠場、屎尿処理場などの施設の有無、騒音、悪臭、地盤沈下などの公害、災害の有無と程度など、また建物については、構造、使用資材の質量、面積、デザイン、設備、採光などの良否といったことが留意すべき事項ですが、このほか、対象不動産が工業地とか商業地である場合には、さらにそれぞれの立地上の適否とその程度を知るための項目を追加することとなります。
工場抵当、または工場財団などの場合には、不動産のほか工場備付けの機械器具なども担保になります。工場財団などでは、自動車、船舶、工業所有権なども財団の組成物件になりますが、財団の組成物件には次のような要件が必要ですから、注意しなけわばなりません。
他の財団に属していないこと
他人の権利の目的となっていないこと、例えば、工場の敷地に抵当権や賃借権などの権利が設定されていると、財団の組成物件にできませんし、また譲渡担保の目的となっている機械なども組成物件になりません。
登記、登録の制度のあるものについては、すでに、登記または登録のなされているものであること、土地、建物で未登記のものがあるときは、工場財団を設ける前に所有権保存の登記を受けることが必要です。不動産以外のものの登記、登録の有無などについては、例えば、自動車の登録に関しては陸運事務所にある自動車登録原簿、船舶の登記は法務局にある船舶登記簿、建設機械の登記は同じく法務局にある建設機械登記簿によって、また拡業権の登録は通商産業局の鉱業原簿によって、特許権の登録は特許庁の特許原簿によって、それぞれ調査確認することができます。

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