見積財務諸表の機能

担保とは、金融上もしくは商取引などによって生じる債権の回収を確保するための手段として、債務者または第三者から提供してもらうもので、こうした行為を担保にとるとか抵当にするなどといっています。
担保は大別して、人的担保と物的担保に分けられますが、人的担保というのは主として保証のことをいい、一般によく行なわれている形としては、法人の債務についてその会社の社長個人が連帯保証人になる場合、あるいは親会社が子会社の債務について保証する場合などがあります。一万、物的担保には、民法の規定する担保物権として留置権、先取特権、質権、抵当権があり、このうち留置権と先取特権は、ある一定の事実があれば法律上当然に発生するものですから、法定担保権とよばれ、質権と抵当権は当事者の設定によって生じるものですから、これを設定担保権とよんでいます。このほか、特別法で認められている企業担保権、判例法によって認められている譲渡担保があります。
担保物件としては、最も一般的に取扱われている土地や建物などの不動産や有価証券などのほか、立木、船舶、自動車、航空機、建設機械、鉱業権および各種財団などの固定資産、それから預金、売掛代金、債権、手形債権、商品などの流動資産があげられます。そして、人的担保もしくは物的担保のいずれか一方のみを担保とする場合もありますが、その両方を担保として併用する場合が多いようです。特に債務者が個人会社であるときなどは、物的担保のほか社長個人の保証をつけて会社との連帯感を強調し、責任ある経営を期待するわけです。
また担保物件は、それぞれの特性に適合した形の利用が行なわれています。例えば、長期の債権に対しては不動産などの固定資産を担保に、比較的短期の債権には有価証券や手形債権などの流動資産が担保にされるといったわけです。また、担保の適性としては、評価が比較的容易で、処分しやすく、変質、毀損の惧れがなく、管理が楽で、価格の変動の少ないものが望ましいことになります。

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金融上の必要から担保をとる場合に、金融機関において最も一般的に利用されているのは抵当権です。抵当権とは、債権者が債務者から財産を取上げないで担保とし、債務者の弁済がないときは、そのものから優先弁済を受ける権利です。抵当権は、登記または登録の公示方法が認められている財産に限って、その目的とすることができます。抵当権には普通抵当権と根抵当権の2つがあって、普通抵当権は、抵当権の設定時において担保する債権額が確定していなければならないのに対し、継続的な取引関係に従って増減変動する債権を一定の限度額まで担保するのが根抵当です。この根抵当の効力は判例によって裏付けされています。普通抵当権と根抵当権の最も大きな違いは、普通抵当権においは抵当権の設定当時において担保される債権額がきまっているのに対して、根抵当権は設定時には担保される債権額がきまっていないということです。根抵当権は増減変動する債権を一定の限度額まで担保するものであるため、設定時においてきまっているのは債権額ではなく、極度額ということで、債権額は決算時にはじめて確定することになります。
また、普通抵当権では、債権額が返済などによって減少していくと、抵当権の担保する範囲もそれに比例して減っていき、債権額がゼロになれば抵当権も消滅してしまいますが、根抵当権は取引中に実際の債権額が極度額を超えたり、あるいは返済などによってゼロになっても存続し、結局、決算時の債権額を極度額まで担保するものです。したがって、金融機関でいえば、当座貸越とか手形割引のような貸出高が変動する取引の担保に向いており、継続的な商取引によって増減変動する債権を担保するためにも適当な方法といえます。
なお、不動産とは、土地およびその定着物であるという民法の定着がありますが、このほか、金融上など特定の必要性から、特別法によって準不動産として、あるいは不動産的に取扱われているものに、前掲の担保物件のうち固定資産としてあげた立木や各種財団などがあります。
債務の弁済が履行されないときには、抵当権の実行によって債権の回収を図ることになりますが、現行の競売法の手続きのもとでは、相当の日数と費用を要することになります。そこで、そのような手数を避けて、担保物件をそのまま取得して他日適当な時期にこれを換価処分し債権の回収を図る方が、時問的にも早く、また費用も安くてすむために、抵当権の設定契約と併行して代物弁済予約契約を締結して抵当権の設定登記とともに、この仮登記をしておくこともかなり行なわれています。
また抵当権と併行して、債務不履行を停止条件とする賃貸借契約を結び、賃借権の譲渡または転貸をなしうる特約付で仮登記をつけておくことも相当広く行なわれていますが、これは、抵当権を保護し強化するための手段として、抵当権に対する妨害の予防と排除、および賃借権を利用して債権の回収を図るという目的によるものです。
不動産などに関する抵当権は、当事者間の契約締結だけではなく、これを登記または登録することによって、はじめて第三者に対する対抗要件を備えることになります。したがって、債務者から権利証や委任状などを領かるだけでは、究極的な保全にはなりません。
A社の所有不動産だけでは担保として不足するような場合、あるいは必要に応じてその他の資産、例えば有価証券、商品、機械器具などの動産を担保とするような場合に多く利用される方法に、譲渡担保があります。譲渡担保は担保の目的のために所有権の移転を行なうものですが、債権者は担保の目的で譲り受けたものですから、その目的以外には名義変更などはできません。しかし、第三者に対する関係では完全に所有権を移転しているのですから、担保方法としては一層強力です。
質権を設定するためには、担保物件の引渡しを受けることが必要ですから、不動産担保にはほとんど利用されていません。一般的に質権の設定が行なわれているのは、火災保検金の支払請求権のうえに質権を設定する場合です。建物を担保とするときには、建物が滅失してしまう場合に備えて必ず火災保険をつけてもらい、その保検金の支払請求権のうえに質権を設定するか、または抵当権者特約条項をつけるのが通常です。
また売掛代金債権を担保とする場合にも、質権か譲渡担保を利用する場合がありますが、実務上は代理受領の方法が多く利用されています。
このほか、商品を担保にとるときには、証券に化体した商品を担保にとる場合と、商品それ自体を担保にとる場合があります。証券に化体したものとしては、輪送中の商品を担保にとるような場合の船荷証券、あるいは貨物引換証がありますが、特に輪出入関係の商品には、この船荷証券が多く利用されています。また倉庫に保管中の商品については、倉庫証券の形で担保にします。一方、証券に化体されない商品自体を担保にとる場合には、倉庫業者が介入して代理保管などの形で担保にとる場合と、当事者だけで譲渡担保の形をとる場合がありますが、外国為替取引に関連して船荷証券担保が利用されるほかは、特殊な場合を除いて一般に商品担保を取扱うことは比較的少ないようです。

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