財務諸表の粉飾

粉飾とは、化粧と同じようなもので、実物以上にみせかけることであるといえます。財務とは、収益性と流動性であるともいえるため、財務の粉飾、したがってまた、財務諸表の粉飾には、収益件の粉飾と流動性の粉飾とがあることになります。決算粉飾などという場合、それは、売上高を過大計上したり費用を過小計上したりして、利益を過大に計上することであって、収益性の粉飾ですが、財務諸表の粉飾には、こうした粉飾のほかに、流動性の粉飾もあるわけです。資金繰表で、営業収入を過大に、材料代など費用の支払を過少に計上したり、あるいは完掛債権、製品などの流動資度を過大に、買掛債務、前受金などの流動負債を過小に表示したりして、流動性を実物以上に去示しようとすることなどがその例です。
粉飾は、前述のように実物以上にみせるようにすることですが、化粧にも仮装があるのと同じように、粉飾にも、実物以下にみせようとする場合もあります。逆粉飾といわれるものがそれです。逆粉飾についても、取益性の逆粉飾が普通ですが、流動性の逆粉飾もありうるわけです。

スポンサーリンク

お金を借りる!

粉飾は、普通、架空の売上を計上したり、架空の完掛債権を計上したりして、売上高や完掛債権などを過大に計上したりすることであって、事実を過大または過少に表示することです。しかし、化粧に整形があるのと同じように、財務財表の粉飾にも、販売会社などに製品を押込み販売して、売上を実物以上にしたり、原材料会社などから材料を不当に安く構入して、材料費を実物以下にするようにすることもあります。粉飾とは、実物以上にみせるようにすることですから、このような実物以上の事実をつくり出すことも、収益性粉飾になります。
収益性は、完上高を過大に、費用を過少に計上しても、また資産を過大に、負債を過小に計上しても粉飾できます。売上高まはた費用を、資産、負債と無関係に実物以上、実物以下に表示すること、資産または負債を、完上高、費用と無関係に実物以上、実物以下に表示することがあります。しかし、このような無関係のばらばらの粉飾は、単純な初歩的な粉飾です。粉飾には、完上高または費用と、資産または負債の双方にまたがる粉飾もあり、また多くみられます。次のような粉飾がそれです。
収益を過大、資産を過大に表示。架空の売上を計上し、売掛金を過大に表示する場合など。
収益を過大、負債および資本を過小に表示。前受金などを繰上げて売上高に計上し、前受金を過小に表示する場合など。
費用を過小、資産を過大に表示固定資産を過少に償却したり、修繕費を改造費として計上する場合など。
費用を過小、負債および資本を過少に表示。費用を過小に計上して、未払費用を計上しなかったり、引当金を過小に計上する場合など。
粉飾の発見には、様々な方法があり、また考えられますが、財務諸表を基準としてみると、いわば在外的な発見方法と在内的な発見方法の2つに大別できます。在外的な発見方法というのは、例えば、税務署への申告所得をみたり、有価証券報告書の監査報告書の記事、新聞、雑誌などにおける会社批判をみたり、その会社へ行って製品などの在庫を調査したり、仕入先で、その会社への売上高、売掛金などを確認、調査したり、得意先で、その会社からの仕入高、買掛金などを確認、調査したりする方法などで、その財務諸表以外の事実、情報に基づいて、財務諸表に紛飾があるかどうか、また、どこが粉飾されているかをみようとするものです。これに対して、在内的な発見方法というのは、その財務諸表を分析して、財務諸表に粉飾があるかどうかなどをみようとするもので、財務諸表分析、財務分析による発見方法です。
財務諸表分析、したがってまた、財務分析、財務調査は、方法から大別すると、比率分析と絶対分析に分けることができます。比率分析というのは、財務諸表などから、様々な比率を出して分析する方法ですが、財務諸表粉飾の発見のためには、財務分析で普通問題にする諸比率、特に売掛債権、製品等の回転期間のほかに、借入金および割引手形に対する支払利息割引料の率、短期借入金、手形割引高に対する預金の率など、また売掛債権に対する貸倒引当金繰入の率、棚卸資産に対する価格変動準備金の繰入の率などをみることも必要です。
絶対分析というのは、財務の内容状態をつかむのに必要な絶対額を出したりして、絶対額で分析する方法で、損益分岐点分析、利益増減分析、利益差異分析、資金表分析などがそれです。財務諸表粉飾の発見のためには、特に利益増減分析、利益差異分析、資金表などが便利です。
このように、財務諸表粉飾の発見の方法には、在外的な方法と在内的な方法とがあり、粉飾の発見には、この2つの方法を併用することが必要であり、効果的です。

お金を借りる!

信用調査/ 販売先に対して行なう信用調査/ 信用調査の手順/ 調査対象企業の検討/ 大企業と中小企業調査の相違/ 製造業調査と販売業調査の相違/ 企業の面接調査の必要性/ 企業の実地調査/ 経営者の経営能力調査/ 従業員の状態の調査/ 業界調査の目的と注意事項/ 生産技術の水準/ 立地条件の適否の判断/ 財務調査の意味/ 貸借対照表と損益計算書/ 包括主義計算と当期業積主義計算/ 監査報告書の内容/ 監査報告書の見方/ 企業の支払能力の考え方/ 支払能力の動態的と静態的の比較/ 経営収支と経営外収支/ 資金表の種類/ 運転資金の考え方/ 経営者と企業活動の運転資金/ 資金運用表の見方/ 財務諸表の粉飾/ 融通手形が出る原因と種類/ 税務申告書類での粉飾決算の有無/ 目標利益の決め方/ 見積財務諸表の機能/ 担保の意義と種類/ 不動産担保の注意点/ 工場の担保評価/ 担保不動産評価額の考え方/ 担保価格に変動がある場合/