企業の支払能力の考え方

企業では、材料代支払、人件費支払等々、様々な支払がありますが、大別すると、材料代の支払、人件費の支払、その他諸費用の支払のような経常の支払と、決算資金関係の支払、固定資産代の支払、借入金の返済などのような経常外の支払の2つに分けることができます。そのような様々な支払をすることができる力、様々な支払義務の支払をすることができる力を支払能力といいます。
銀行などの金融機関でも、もちろんこのょうな全ての支払義務の支払能力をみることが必要ですが、金融機関であるため、特に貸付金が期日に回収できるかどうかをみること、企業側からいえば、借入金が期日に返済できるかどうかをみること、つまり、借入金の支払能力があるかどうかをみることが、特に重要であるといえます。
このような支払能力のつかみ方としては、様々な方法があり、また、様々な方法を考えることができますが、大別すると、動態的なつかみ方と静態的なつかみ方との2つに分けることができます。

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支払能力の動態的なつかみ方というのは、一期間における収入と支払を対比してみて、収入、つまり入ってきた金でもって支払ができるかどうかをみるようにする方法です。収入で支払ができるわけですから、このような支払能力のつかみ方があるわけです。この支払能力のつかみ方を式で示してみると、次のようになります。なお、支払能力1の式は分子を支払、分母を収入としてもさしつかえありません。

支払能力1=収入/支払
支払能力2=収入−支払

前述のように、支払には、様々なものがあり、大別すると、経常の支払と経常外の支払の2つに分けることができます。それと同じように、収入にも、いろいろなものがあります。大別すると、売上収入および営業外取益の収入のような経常収入と、固定資産の売却収入、借入、増資による収入などのような経常外の収入の2つに分けることができます。収入と支払をそれぞれ経常の収入と経常の支払にしぽって経常の収入と経常の支払を対比してみるようにすると、支払能力が端的につかめるようになります。経常の収入が経常の支払より大である場合は、売上収入のような経常の収入でもって、材料代の支払などの経常の支払が十分できること、また収入超過金でもって、決算資金関係の支払や、借入金の返済などができるようになること、つまり、経常の支払をする力と経常外の支払をする力があることを意味するからです。このような支払能力のつかみ方を式で示してみると、次のようになります。なお、次の支払能力1の式も、分子と分母とを逆にしてもさしつかえありません。

支払能力1=経常の収入/経常の支払
支払能力2=経常の収入−経常の支払

次に、支払能力の静態的なつかみ方というのは、一時点において、支払義務がどれだけあり、また、その支払にあてうる支払手段をどれだけもっているかをみるようにすること、つまり、一時点における支払義務と支払手段を対比してみて、支払義務の支払能力をつかむようにする方法です。このつかみ方を式で示してみると、次のようになります。これは、一時点における支払義務を支払手段でもって支払いうる力をつかもうとするものです。

支払能力1=支払手段/支払義務
支払能力2=支払手段一支払義務

一時点における支払義務といっても、様々なものがあり、また、いろいろなものが考えられます。また、支払義務の支払にあてうる支払手段といっても、様々なものがあり、いろいろなものが考えられます。そこで、様々な観点から、支払義務と支払手段とをしぼって、両者を対比してみることが必要になります。まず考えられるのが、支払義務と支払手段を、それぞれ流動負債と流動資産にしぼって、流動負債と流動資産を対比してみて、流動負債を流動資産という支払手段でもって、支払いうる力をみるようにするという方法です。これを式で示してみると、次のようになります。

支払能力1(流動比率)=流動資産/流動負債
支払能力2(正味運転資本)=流動資産−流動負債

流動資産(支払手段)と流動負債(支払義務)を、分子分母の形で対比したものが、いわゆる流動比率であり、それを差引きの形で対比したものが、いわゆる正味運転資本です。流動比率と正味運転資本とは、同じ内容のものであり、流動負債という支払義務を流動資産という支払手段でもって支払いうる力の有無程度を表わすものといえます。
流動比率と表裏の関係にあるのが、次のような固定比率、特に長期資本固定比率です。つまり、流動比率が高い場合には、固定比率、特に長期資本固定比率も高く、流動比率が低い場合には,固定比率、特に長期資本固定比率も低いのです。
その意味において、固定比率、特に長期資本固定比率も、流動資産と流動負債との対比とみることができます。なお、長期資本というのは、自己資本と固定負債との合計です。また、固定比率、長期資本固定比率は、次の式の分子と分母を逆にしたものとすることもあります。

固定比率=自己資本/固定資産
長期資本固定比率=長期資本/固定資産

流動負債の支払手段としての流動資産をしぼって、当座資産としたり、現金および預金としたりして、流動負債と対比して、流動負債の支払能力をみることもあります。この流動負債の支払能力のつかみ方を比率で示してみると、次のようになります。

当座比率=当座資産/流動負債
現金比率=現金預金/流動負債

したがって、当座比率、現金比率は、それぞれ流動負債という支払義務を、当座資産、現金預金でもって支払いうる力をつかもうとするものであるといえます。負債はもちろん支払義務ですが、資本はその支払手段になるものと考えることもできますから、負債という支払義務と、資本という支払手段を対比して、負債を資本という支払手段でもって支払う力をみることもあります。次のような資本負債比率が、このような支払能力をみようとするものです。なお、この比率も分子と分母とを逆にしたものとすることもあります。

資本負債比率=資本/負債

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