包括主義計算と当期業積主義計算

毎期の損益は、大別して、経常的な損益と非経常的、臨時的な損益とにわけられます。商法規則による損益計算書では、毎期の経常的な損益と臨時的な損益の両方を記載し、これらを通産したところで、毎期の処分可能利益を明らかにすることとされていますが、このような計算方法を会計学では包括主義計算といいます。これに対して、損益計算書には毎期の経常的な営業活動から生じる成果のみ、つまり経常的な損益のみを記載し、非経常的、臨時的な損益は繰越利益剰余金に直接加減する方法があります。これを会計学では当期業績主義計算といい、財務諸表規則の損益計算はこれによることになっています。日本の企業会計原則では、損益計算は当期業債主義計算によることとされており、財務諸表現規則の方が近代会計理論にそっているといえます。しかし、当期業績主義にも難点がないわけではありません。ある損益項目を経常的なものとするか、あるいは非経常的なものとするかについて、恣意性がまったく入らないで判断しうるとはいい切れないからです。

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収益性の分析において、最も重要な数値はいうまでもなく利益ですが、特に総資本利益率や売上高純利益率などをみる場合には、算式の分子は財務諸表現則による当期純利益とするのが適切であるといえます。しかし商法規則による経常利益も、財務諸表規則による当期純利益とそれほど差がないと考えられるため、有価証券報告書が入手できない場合には、算式の分子を商法規則による経常利益とすることもさしつかえありません。
商法では、発行済株式の2分の1を超える所有関係について親会社または子会社と定義し、親会社からの投融資または子会社への投融資は他の投融資と区分することになっています。これに対して財務諸表規則では、この2分の1を超える所有関係とともに、発行済株式の100分の10を超える株式を所有し、かつ事業活動の主要部分について継続的で緊密な関係を維持することにより支配関係にある企業を舎めて関係会社とし、関係会社投融資は他の投融資と区分することになっています。
長期前払費用は法律上、役務給付請求権とされ、商法規則では無形固定資産とされます。これに対し財務諸表規則では、これを繰延勘定としております。したがって、財務諸表規則にいう繰延勘定は、商法に規定される繰延資産に長期前払費用を加えたものをいいます。
退職給与引当金のような条件付債務は固定負債に表示するのが原則であり、財務諸表規則ではそのように表示されていますが、商法規則では、このような条件付債務は引当金の部に含めて表示してもよいとされているので、引当金の部に含めて表示する例が多いようです。
商法規則では資本の部を資本金、法定準備金、剰余金、に分けていますが、財務諸表規則では資本金、資本剰余金、利益剰余金としています。
商法規則による資本の区分は法律上の拘束からくる区分であり、財務諸表規則の区分は財源別区分であるといえます。なお、財務諸表規則でいう、その他の資本剰余金とは、財産贈与、債務免除等による剰余金のほか、政府または地方公共団体等の建設助成金または補助金などですが、商法規則ではこれらは任意積立金として処分可能利益に一括されます。
以上、商法規則と財務諸表規則による貸借対照表の表示上の相違点は、財務分析のうえでそれほど問題となることはありません。

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