生産技術の水準

生産技術とは、良いものを安く造る技術です。生産技術が企業の採算に大きな影響を与えることはいうまでもありませんが、特に技術革新の時代といわれる今日においては、今まで優れていたものも、たちまち陣腐化してしまうこともあるために、単に従来の水準を維持するだけでなく、不断の向上が要求されます。このように、生産技術は企業の競争力を形成する重要な要素であり、かつ将来性を決定する要素といえます。
生産技術は、具体的には、新製品を開発する技術と、従来の製品をより良く、より安くつくる技術に大別できます。企業がどの要素を重くみるかは業種によって異なりますが、一般的には、化学工業、精密機械、電気機械などは、新製品の開発に、鉄銅、輸送用機械、金属製品などは製造技術の改善に重点をおいているといえます。

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生産技術の水準を調査する場合の主な要点として、生産技術の担い手である技術陣に量的、質的な特色があるかどうか、技術者の学歴別、専門別構成などを調べます。人員規模あるいは専門別構成比がどの程度であればよいかは一概にいえませんが、企業の技術開発の重要さから技術陣の充実が強く要請されることはいうまでもありません。
研究費の投入状況、研究の設備の状況、技術系列も調査対象となります。研究費の投入状況を他社と比較するときは、経理処理科目の異なることがあるために、実際の投入額でみることが必要です。研光費の投入額がどの程度がよいかは業種によって異なりますが、日本の全産業の平均は対売上比率1%くらいといわれています。
製品に特色があるか、すぐれた点があるかを、需要者の立場から、同業者の製品と比較して検討してみます。
使用している機械設備のいかんで、その工場の生産技術の水準を入ることもできます。その設備が、同内あるいは海外の同業者と比較してすくぐれたものであれば、一応生産技術もすぐれているものといえます。しかし、すぐれた設備でも十分に生かしえないこともあるために、注意する必要があります。
作業が工員の熟練度に依存する場合には、工員の経験年数の長短がポイントになってくることになります。
過去の研発の成果としての新製品や新技術あるいは特許権なども、技術水準を示す指標となります。
導入技術がある場合は、それだけ技術水準が引上げられているといえると思われます。こういう点から導入技術の内容を調査することも考えられます。
以上、生産技術の水準をみる要点をあげてみましたが、これらのことは、その道の専門家でなければ判断できないものが多いと思われます。例えば技術陣の質的な評価や、過去の研究成果の評価などは、専門家でなければわかりません。そこで、こういう評価がどうしても必要ならば、しかるべき専門家の意見を聞くことになります。
また、製品の優劣もユーザーの意見が必要でしょうが、これも的確につかみがたい場合も多いと思われます。特に最近のようにPRによって製品のイメージを作り上げる時代では、品質の良否が、それほど物をいわなくなっているものが相当あると思われます。このように、生産技術の水準の良否は、究極的には専門家の意見にまたねばならないと思われます。しかも、技術革新の激しい今日、新しい技術が生まれたり、よりすぐれた設備ができるかどうかを調べることは、目を海外企業の動向にまで向ける必要があるだけに、専門家にとっても相当難事であるといわねばなりません。
それでは、信用調査に当たって、私達が調べられることはないかというと、そうではありません。製品の値段が他社製品より高い場合は、品質がすぐれているとみてよいことがあるでしょう。またコスト面では、原材料の原単位がすぐれているため同業者より割安ということであれば、製造技術がすぐれているものとみてよいでしょう。ただ、コストを比較する場合に注意しなくてはならないのは、生産管理が進んでいるためにコストが安い場合です。生産管理は、人と設備と材料をより効率的に使うための管理技術ですから、生産管理の技術と生産技術とは、一応別個のものです。混同しないように注意する必要があります。
また、企業の技術水準の成果とみられるものを捨出し、それらが財務面特にコストにどんな影響を与えたかを調べてみることです。新製品といわれるものの売行きや、新技術のコスト面での成果をみ、さらにそれらの新製品とか新技術がどうして生まれたかを調べることによって、その企業の技術水準を具体的に評価できます。
このように、財務面からある程度技術水準をみることはできます。
しかし、より基本的な問題は、まずその企業にとって技術水準の良否がどういう意味があるかということです。現在の世の中は、良いものを安くつくっても、それだけで売れるわけではありません。技術よりもPRとか販売面の充実がより大事なこともあります。技術陣をやたらに揃えても、プラスになるとはいえません。要するに、企業活動の他の面とのバランスがとれていることがまず肝要なことといえます。第2に、技術陣が生かされていない場命があります。技術陣は効率的に使われなければならないことははいうまでもないことですが、そのためには、トップから販売面、経理面まで全社 的に一致して技術陣をバックアップし、的確なテーマを定めることが必要になってきます。技術陣が勝手な研発をやったり、販売部門が無理なあるいは無駄な要求をしたり、経理面が必要な研究費を出し渋ったりしたのては、いくらすぐれた技術陣を有していても実効はあがりません。全社をあげての協力体制ができるには、トップの理解が必要です。トッブの技術陣に対する考え方がどうであるか、これが技術水準をみる最大のポイントといってもよいかもしれません。

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