企業の実地調査

企業経営の結果は財務諸表に集約的に表現されています。そこで、実地調査では、財務諸表の信憑性を確かめるとともに、財務計数のよってきたる原因、つまり財務計数と仕入、生産、販売など経営諸活動との因果関係を追求していくことに最も大きな意義があるわけです。このほか実地調査の一般的な留意点としては、次のような点があらげられます。
財務分析による期間比較、企業比較によって、あらかじめA社の特色、問題点をつかんでおくこと、
下記のような基本的な資料は事前に徴求し、できるだけ財務諸表とのつながりを頭に入れておくこと、
財務資料、勘定科目明細、製品別原価資料、資金繰り表
経営者、従業員状況組織図、経営陣略歴、職場別人員構構成と給与支払明細
設備状況、設備明細表、生産工程表、
生産販売状況製品別生産、販売実績、仕入販売先別仕入、販売実績と取引条件、原材料消費状況と製品原単位表、在庫明細
経営者だけでなく生産、販売各担当者など幅広く面談し、できるだけ真の姿をつかむよう心掛けること。
経営諸活動の細部の分析に目を向けるあまり、木をみて森をみぬ結果に陥らぬようたえず留意することが必要です。

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調査項目はその目的によって必ずしも一様ではありません。しかし、総合的な実地調査では、財務的側面を土台としつつ、人的側面、物的側面からも分析、調査していくのが一般的です。そして、各側面から得られた結果を有機的に関連づけることによって、はじめて企業の実態、さらには長期的な収益力の強弱が判断できるわけです。
実地調査では、過去の経営活動の集積結果である正味資産の的確な把握が最優先されるぺきです。ここで正味資産とは、自己資本一評価損+評価益の算式で計算されます。それには、簿外資産、負債の有無、各勘定科目ごとの実質的な内容の検討、評価損益の有無等が前提として明らかにされねばなりません。この場合、元帳だけによらず、できるだけ原始伝票にまでさかのぼってチェックすることが肝要と思われます。
そして、このような調査結果を修正貸債対照表に集約し、次の観点から、企業の安全性および流動性の良否を検討するわけです。
どのくらいの不良資産あるいは含み資産がどの勘定で存在しているのか。
それらがいつどんな理由で異積してきたのか。
その結果、正味資産はどんな状態にあるのか。
さらに実質的な流動資産対流動負債のバランス状態はどうか。資金のアンバランスはないか。あるとすればその程度はどうか。
長期損益推移により過去の収益基調を念頭におき、取益力の強弱および変動の要因把握へと調査を進めるのが一般的です。取益性分析の調査項目としては、損益分岐点分析による収益構造および経営の弾力性の把握、利益増減分析による業結変動要因の把握、製品別損益実体の把握が中心となります。さらに、長期的な収益見通しを判断する手がかりを得るためには、次の点にも特に留意すべきです。つまり、取益力の強弱あるいは変動要因が外部的要因か内部的要因のいずれによるものか、内部的要因とすれば改善が可能か。外部的要因とすればこれにどう対処しようとしているのか等について、できるだけ計数的に追求することが必要と思われます。
経営者が自社の企業体質上の長所、弱点をいかに的確にとらえているか、そして長所はこれを伸ばし、弱点はこれを改善するためにいかに努力しているかに、第1のポイントをおくべきです。さらに実地調査の特色生かすかすため、トップの方針が下部にどの程度侵透し、いかなる具体的成果をあげているか、また、職場モラルや労使関係などについても、極力実態をつかまえるよう心掛けることが必要と思われます。経営者、従業員がいかに優れていても、事業素質が悪いと企業の存続さえ危ぶまれます。このように事業素質は将来の企業基盤を判断するポイントと思われますが、これは具体的には、取扱製品の成長力、当該メーカーの製品の特殊性、業界シェアと競合状況、コストアップの吸収余力の状況等でとらえられます。もとより、企業をとりまく環境は時々刻々と変化しています。したがって、これにどう対処していこうとしているかをみることも重要なポイントといえます。

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