製造業調査と販売業調査の相違

製造業では仕入、生産、販売という活動が行なわれ、販売業では仕入、販売という活動が行なわれています。つまり生産活動が行なわれているかどうかが大きな違いであり、製造業と販売業の調査上の相違はすべてここから発生してきます。
製造業でも仕入、販売活動が行なわれており、これの良し悪しが企業成果に大きな関係をもっていることは販売業と同じですが、もし、これが一定の状態であるならば、企業成果は生産状況によって決定されることになり、かつ、それが及ぽす影響は決定的なものになります。したがって、製造業調査では生産状況の調査が中心になり、仕入、販売状況の調査はこれとの関連においてなされることになります。
販売業では生産活動がなく、収益性、流動性の良し悪しはすべて仕入、販売が適切かどうかにかかっています。また、販売業のマージンは比較的少ないのが普通であるため、仕入、販売活動における僅かな失敗も、損失をもたらす原因となります。したがって、製造業以上に慎重な仕入、販売活動が必要となり、これの調査は仕入、販売がいかに適切に行なわれているかを中心に行なうことになります。財務面の調査は、製造業も販売業も基本的には同じことです。

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販売業といっても、卸売業と小売業では仕入先、販売先、販売方法等に相違があり、調査のポイントも当然違ってきます。ここでは卸売業の場合について考えてみます。
商社では、取扱商品が何であるかということによって、調査のポイントが違ってきます。また、単一商品を取扱っているか、またはそれに近い専門商社と、多角的に多数の商品を扱っている総合商社では違います。しかし、ここではこれらを含め一般的に考えてみます。
商社は商品の流通過程においてメーカーと小売店をつなぎ、それを必要としている人に、必要な時期に配給するという機能をもっています。したがって、何時、何所で、誰が、どのようなものを、どれだけ必要としているかを、常時的確に把握していなくてはなりません。つまり市場調査は商社の重要な仕事です。したがって、市場調査をどのように行なっており、または行なう能力をもっており、それが仕事にどう反映されているかを調査することが必要です。
商品によっては季節性のあるものがかなりあり、この中には需要期近くになって生産されるものもありますが、通常は、不需要期にも生産され備蓄されて、需要期に売出されることになります。備蓄は生産者段階で行なわれることもありますが、商社段階で行なうことが商社にとって有利となるために、通常は、商社が倉庫をもってこれを備蓄します。したがって、調査にあたっては、このような商品がどう取扱われているかを検討することが必要です。
販売先、つまり下位の問屋あるいは小売店の販売能力があるかどうかは、商社の売上に大きな影響をもっています。したがって、販売先の販売能力がどうなっているか、また、この能力を拡大するための育成努力が行なわれているか、適正な信用許容限度が決められているか等について検討することが必要です。
商社では、小売店と違って、商品を陳列し客の来店をまって販売するわけではなく、普通はセールスマンが見本帳等を持って出張販売しています。したがって、セールスマンの能力が売上に大きく影響します。この意味で、セールスマンの教育、管理がどのように行なわれ、成果があがっているかどうかを検討することも調査上見逃せない点になります。
いくら販売量が多くても、適正な価格で販売されていなくては利益をあげることはできません。しかし、不当に高い値格では、これまた将来の販売に支障を生じます。価格は適正なことが必要であるため、市場相場等とも比較し、適正値格で売られているか、また値格決定の基準はどうなっているかについて調査することが必要です。
販売業では仕入れの良し悪しが収益性に直接重要な影響を及ぼします。仕入先の調査が必要なゆえんです。仕入先は販売に必要な商品を、必要な時期に必要な量だけ生産あるいは取揃えることができる能力をもっていなくてはなりません。その商社の仕入先選定基準がどうなっているか、その結果適切な仕入先を有しているかについて検討しなくてはなりません。また、販売能力に応じて仕入も払大されることになるため、絶えず市場の情報を流し、生産能力を対応させるように仕入先を指導しているか、仕入代金の支払期間についても、仕入先が困らないように配慮しているかを検討することも必要です。
仕入価格は低いほどよいわけですが、仕入先の収益性を圧迫するような価格では長続きがしません。したがって、適正な仕入価格で仕入れることが必要であるため、この点についての検討も軽視できません。
製造業では生産活動が中心となりますが、もちろん販売はどうでもよいということではありません。販売することができて始めて生産する意味があるわけですから、この意味で販売活動の調査を要します。ことに見込生産の場合はそうですが、販売業の場合と違って、市場調査がどのように行なわれ、その結果が生産計画にどう反映されているか、実績はどうであったかを、さらに検討することが必要です。
注文生産ことに下請会社の場合には、親会社の生産動向が最も問題であるため、親会社との関係がどうか、常に品質等についても親会社と密接に連絡しているか、親会社の今後の見込はどうか、という点が重点調査項目となります。この場合には、そのほかはあまり調査する必要はありません。
注文生産でも、特定の会社の下請でない場合には、セールス活動、ことにセールスマンの能力が販売に大きな影響をもつために、この点について販売業の場合と同様の調査が必要です。
下請会社の場合はあまり関係ありませんが、一般に広告はメーカーが行なうことになっており、これも販売に重要な影響をもっているため、製造業の販売調査の重点項目になります。
このほか、販売先への与信限度、将来の販売能力、販売価格の決定等については、販売業と同様の調査を要します。仕入は原材料仕入ということになりますが、ここでは生産を円滑に行なうための原材料入手という観点から、原材料品質管理がどう行なわれているか、納期に確実に入手できているか等の調査が必要です。また、下請会社の場合には,親会社からの材料支給があるのか,あるとすれば有償か無償かという点についての検討が必要です。

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