信用調査の手順

調書は信用調査の結果を上司やその他の人々に伝達する手段の一つに過ぎませんが、直接調査を行なった以外の人はこれによって判断することになるため、この良し悪しは重要な意味を持ってきます。十分な調査を行なっても、必ずしも良い調書ができるとは限りませんが、不十分な調査では絶対に良い調書はできません。このことから、長い調書を作成するためには、十分な調査を行なうことと、この結果を十分に他人に伝達できるように上手にまとめることが必要なことがわかります。それでは、十分な調査をするには、どのような手順、方法で行なったらよいでしょうか。
調査を始めるに当たって何の資料もないということでは、調査の手がかりをつかむのに不便であるため、まず必要な資料をできるだけ集めることが必要です。企業はそれ自体で単独に存在することはできません。外部からの影響を絶えず受け、またこれに影響を与えるという関係において存在しています。この外部関係の中で最も密接な関係になるのは、その企業の属する業界であり、これの動向によって大な り小なり影響をうけます。したがって、調査対象企業の状態を把握するためには、業界の動向を十分知っておくことが必要です。
このことから、資料を集める場合に、対象企業に関するものだけでなく、業界の資料も必要なことがわかります。

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対象企業および業界に関する資料としてどのようなものを集めたらよいかは、調査目的によって異なりますが、一般的にいうと、対象企業に関しては、実体面の把握に必要な資料と財務面の把握に必要な資料に分けられます。実体面の資料としては、経営者、従業員に関する資料、組織に関する資料、生産に関する資料、販売に関する資料、仕入に関する資料、等を必要とします。財務面に関する資料としては、財務諸表、試算表、資金繰り表等を必要とします。
業界に関する資料としては、同業者数、設備状況、生産高、出荷高、製品価格、原材料価格等の推移に関する統計のほか、業界状況に関する新聞、雑誌、パンフレット、同業者の財務諸表、等が必要となります。
次に、これらの資料をどうやって集めるかについて考えてみると、対象企業に関する資料は、普通、その企業に提出を求めることができますが、相手企業自体が資料を持っていないような場合には、口頭による質問から自分で作成しなくてはならないこともあります。また、あまり煩項な資料を要求することが不適当な場合にも自ら作成しなくてはならないことになります。業界の資料も相手企業から入手できることもありますが、普通は別途入手することになります。統計資料については、所管官庁で発行している統計、業界団体で発表している統計等が容易に入手できます。また比較的新しい数字を必要とする場合には、業界団体に問い合わせることによって入手できるでしょう。このほか、各銀行の調査月報には業種別に最近の動向を調査したものがあり、入手も容易でかなり参考にもなります。
必要な資料が集められたならば、それを検討することになりますが、対象企業が属する業界がどのような動きをしているか、どこに業界としての問題点があるか、ということがわからないと、対象企業の動きが正しく把握さず、したがって問題点の把握を誤ることにもなるため、まず業界の調査を行ないます。これには、業界に関する諸資料から大体の動向を把握し、次に業界団体、所管官庁、同業者等に対する問い合わせを行なって、できるだけ正しい動向をつかむようにします。
次に、入手した対象企業の資料から実体面、財務面の検討を行ない、業界動向とも関連させて問題点をピックアップします。これだけの準備ができたならば審査に入りますが、場合によっては、それに先立って関係先に対する問い合わせを済ませておくこともあります。例えば、提出資料を検討した結果、業界一般では販売代金の回収期間に変化がないのに、当社では長くなっているという場合には、製品の品質に問題があるということも考えられ、もしそうなら実査のときの重点項目の一つとなるために、あらかじめその理由を明らかにしておかなくてはならないからです。
実査では、先に検討した問題点をすべて解決することが必要です。例えば、生産実績、販売実績、在庫の増減を突合わせた結果、矛盾があったとすれば、生産、販売に関する諸帳簿の調査および実際の在庫の確認をして疑問の解決を図ることが必要です。このような疑問点については、もちろん重点的に調査することになりますが、このほか矛盾がない事項であっても、提出資料確認の意味から、財務諸表については帳簿その他証憑書類から確認しておくことが必要です。生産、販売、仕入実績についても同様の確認を要します。また、なかなか面接できない主要役員がいても、必ず面接して経営方針、当面の問題点、その解決策等について話を聞くことが必要です。工場実査に当たっては、立地条件、レイアウト,運搬設備、稼働率、機械能力等について担当技術者から話をきくとともに、その確認をすることが必要です。在庫の確認、担保物件の査定、従業員のモラルの観察も欠かすことのできない実査要件です。
実査が終わったならば、必要な問合せを行ないます。例えば、実査によって確認された仕入金の支払条件に間違いがないかどうかは、仕入先に問合せることによって裏付けられ、これを行なわないと万全とはいえないからです。

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