動産質

動産に質権を設定する場合には、動産自体を担保にとって質権者が直接占有する方法と動産を代表する証券を占有する方法とがあります。動産の現物に質権を設定するときは、質権者は担保物の引渡を受けなければ質権の効力が生じません。その上継続占有しなければ第三者に対抗できません。質権者は、質権設定者に自己に代って質物を占有させることができないため、大量の質物を受入れるには質権者が自己の倉庫を所有していることが必要となります。保管設備を有する者がこれを利用して現物を質にとるのであれば、負担はたいしたことがなく、質物の管理も充分にでき、倉庫証券を質にとった場合に起るような証券の空発行によって生じる損害をみることもなく、倉庫検査に要する手数と費用を省く利益があります。物動産質の設定には現物の引渡と占有の継続を必要とするため、滞貨や貯蔵品等差当り売却の当のないものまたは遊体設備等を除き商品や機械器具に動産質を設定することは、債務者の営業に打撃を与え債務償還を困難にします。それ故商品や機械器具等の現物が質権の目的となる例は稀で、家具、什器、被服、骨董品等の生活用品が質物となる例が多くなっています。

スポンサーリンク

お金を借りる!

質物の価格が僅少であって競売費用を償うに足らないときとか、質物に公定相場があって、競売しなくとも公定価格で売却できるとかいうような正当な理由がある場合には、鑑定人の評価に従って、裁判所に対し質物をただちに弁済に充当することを請求することが認められています。
動産を代表する証券には、倉庫証券、船荷証券及び貨物引換証等があり、これ等の証券を譲渡質入れすることにより、現物の譲渡質入と同じ効果を挙げることができます。
倉庫証券は、倉庫営業者が寄託者の請求に応じて発行するものですが、すべての倉庫業者が倉庫証券を発行できる訳ではなく、主務大臣の発行の許可を受けたものに限られます。倉庫証券は商法によると預証券および質入証券の2枚を発行することを原則としており、例外的に倉荷証券1枚を発行することを認めています。実際取引では、倉荷証券の発行が広く行われ、預証券および質入証券の発行されることはほとんどありません。
倉庫証券に記載すべき事項
証券番号の記載、受寄物の種類、品質、数量および荷造の種類、個数ならびに記号これ等の事項は、寄託物の個性と数量を示すものであるため、この証券のもっとも重要な記載事項です。この記載を欠くときは、倉庫証券としては無効です。しかし各貨物について前記のすべてにわたり記載することは必ずしも必要ではなく、取引の一般通念上貨物の個性と数量とをすることができる程度の記載があれば足ります。受寄物の種類とは、貨物が米であれば粳白米、糯白米、あるいは玄米等の表示です。品質は、等級、生産年度、製造年度、産地等その貨物の取引価格決定に影響のあるものが記載されます。荷造の種類は、袋入、俵入、罐入、壜詰等その貨物の包装の形態を指します。荷造の個数とは、包装された賃物の幾個が集まって、結束され函入となり、または俵入となって1個に荷造りされているかを示すものです。記号とは、三桃印とか蜂印とかの商標その他貨物の識別に必要な記号を指し、寄託者が自己の便宜のために勝手につけた記号をいうのではありません。
倉庫証券は、この規定があるため、無記名人で発行することは許されず、記名式、指図式または記名持参人払式としなければならないと解されています。通常指図式で発行される事例が多いようですが、指図文句のない記名式の証券でもとくに禁じていない限り、裏書で譲渡できます。
保管貨物の所在を知らせるとともに、その出庫、貨物の点検、見本の摘要等も容易ならしめるものです。倉庫業者が各地に倉庫を有するときは、某地所在の第何号倉庫に保管すると具体的に記載しなければなりません。倉庫業者は、出庫のときでなければ保管料および立替金その受寄物に関する費用の支払を受けることができません。倉庫に寄託中の貨物を譲渡したときは、譲渡までの保管料は譲渡人、その後の分は譲受人が負担するのが当然ですが、倉庫業者は留置権を有するため保管料全額を支払わなければ出庫に応じないことができます。それ故譲受人は、倉庫証券の記載により譲渡人の負担すべき保管料を知り、譲渡代金から差引いておく必要があります。
倉庫寄託には、保管期間を定めるのが通例です。期間を定めたときは、倉庫業者の方からその期間内に返還の請求をすることは原則として許されませんが、寄託者又は倉庫証券の所持人は証券と引換に出庫の請求ができます。保管の時期を定めなかった場合も倉庫業者は、入庫の日から6カ月経過した後でなければ受寄物の返還ができません。
倉庫業者には、受寄物に保険を付ける法年上の義務はありませんが、寄託者の便宜を図り寄託者の負担において保険をつけるのが普通です。この場合には、倉庫証券に保検に関する記載があります。寄託者が倉庫業者の手を経ないで保険をつけた場合には証券面にはこれに関する記載がなく、寄託者が倉庫証券を譲渡質入するに当り、寄託物に関する保険金請求権もともに譲渡するには保険証券を添附することを要します。
倉庫証券には、倉荷証券、預証券又は質入証券の別を示す文言の記載を要します。倉庫証券には、これ等の事項の外寄託に関する諸種の条項が記載されているため、証券の取得にあってはそれ等の記載事項をも注意しなければなりません。

お金を借りる!

消費貸借/ 消費貸借の効力/ 金銭消費貸借の機能/ 金銭消費貸借の成立/ 手形貸付と手形割引/ 保証債務/ 保証債務の内容/ 連帯保証の意義/ 共同保証と連帯債務/ 連帯債務の効力/ 根保証の意義/ 手形保証と手形裏書/ 抵当権の意義/ 連帯債務者と保証人/ 抵当権の効力と次順位の昇格/ 担保の変動/ 不動産抵当権実行手続/ 不動産の意義と不動産抵当/ 抵当権の効力/ 不動産抵当権設定登記/ 根抵当権/ 被担保債権元本の確定/ 根抵当権の随伴性/ 相続合併と根抵当権/ 根抵当権の一部譲渡と準共有/ 工場抵当/ 工場抵当権設定手続/ 漁業財団抵当/ 船舶抵当権/ 質権/ 質権者の権利/ 動産質/