相続合併と根抵当権

元本の確定前に根抵当権者について相続が開始したときは、次のようになります。つまり相続開始のときにすでに発生している債権は、当然にその根抵当権によって担保されます。相続開始のとき、すでに発生していた被担保債権を相続した者は、当然に根抵当権者となります。また、根抵当権の相続人と根抵当権の設定者の合意によって定める相続人が、相続開始後に新しく取得する債権も、その根抵当権により担保されることになります。相続人と根抵当権設定者が合意をするに際し、相続放棄をした者は、合意の当事者からは除外されます。また、この合意については、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得る必要はありません。上記の合意で定められた相続人が、相続開始前から有していた固有の債権はその根抵当権の被担保債権の範囲と定められたものに属するものだけは、その根抵当権によって担保されることになりますが、その範囲外の債権は担保されないのです。また、根抵当権者が死亡したとき、すでに被担保債権の元本が確定していたときは、民法の相続に関する一般原則に従います。したがって、確定した被担保債権元本を相続した者は、当然に根抵当権を取得し、また、数人が被担保債権を共同で相続したときは、当然に、その根抵当権を準共有することになります。

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根抵当権によって担保される元本の確定前に債務者が死亡したときは、次のようになります。この場合、根抵当権は、相続開始のときに現存する被担保債務のほか、根抵当権者と根抵当権設定者の合意により定めた相続人が、相続の開始後に負担する債務であって、その根抵当権の被担保債務の範囲に属する債務も担保します。また、合意によって定められた債務者が、相続開始前からすでに負担していた固有の債務であって、その根抵当権の被担保債務の範囲に属する債務も同様です。上記の合意によって、将来発生する債務で根抵当権で根抵当権の被担保債務となる債務を負担すべき相続人を定めるについては、利害関係人の承諾を要しません。債務者について相続が開始したとき、すでに元本が確定している場合には、相続の一般原則にしたがいます。先に述べた民法第398条ノ9第1項および2項の合意をした場合には、相続開始後6カ月以内に、その旨の変更登記をする必要があります。そして、この登記が所定の期間内に行なわれない場合には、その根抵当権によって担保される元本は、相続開始のときに最終的に確定し、相続開始後に発生した債権債務は、すべて、その根抵当権によって担保されないことになります。
第2に、法人の合併と根抵当権の関係については、次のとおりです。元本の確定後に、根抵当権者または債務者が他の会社と合併したときは、合併の一般原則にしたがいます。したがって、根抵当権者が他の会社に合併されたときは、従来の根抵当権者が持っていた債権は、根抵当権とともに、当然に合併後の存続会社に移転し、また、債務者が他の会社と合併したときは、合併当時の負担していたその債務は、合併後の存続会社に承継され、従前の根抵当権によって担保されることになります。
次に、元本の確定前に根抵当権者が、他の会社と合併したときは、根抵当権は、当然に合併後、存続または新設される会社に承継され、存続会社または新設会社は、合併のときに現に有する債権のほか、合併後取得する債権のうちその根抵当権の被担保債権の範囲に属するものすべてその根抵当権によって担保されることになります。したがって、合併後の存続または新設会社が取得する債権のうち、その根抵当権の被担保債権の範囲に属しない債権や、根抵当権者でなかった会社が合併前から有していた債権は、原則として、合併によって取得した根抵当権によっては担保されません。
さらに、元本の確定前に、債務者について合併があった場合には、根抵当権は、合併のときに被担保債務として存在する債務のほか、吸収合併または新設会社が合併後に負担する債務のうち、その根抵当権の被担保債権の範囲に属する債務をも担保します。債務者または根抵当権者について合併がなされると、根抵当権設定者の地位は、はなはだしく不安定となります。そこで、根抵当権設定者は、合併がなされた場合、根抵当権者に対し、担保すべき元本の確定を請求することができます。元本の確定を請求するとは、根抵当権設定者から根抵当権者に対して、元本の確定を請求する旨の意思表示をすることです。この意思表示は必ず書面によらなければならないものではなく、口頭でもよく、そして、確定請求の意思表示が、根抵当権者に到達すると、元本確定の効力が生じ、その根抵当権によって担保される元本は、合併登記の時点に存在したものに最終的に確定します。
上記の確定請求をなすことができる者は、根抵当権設定者だけであり、しかも、同時に債務者である根抵当権設定者については、許されていません。また、根抵当権設定者は、合併が行なわれたことを知ったときから2週間以内、または合併のあったことを知らない場合でも合併登記の日から1カ月以内に確定請求をしなければ、合併を理由として碓定請求をすることは許されません。したがって、根抵当権設定者としては、根抵当権者や債務者が他の会社と合併するかどうか絶えず注意していることが肝要となります。

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