根抵当権の随伴性

従来は、根抵当権の被担保債権が確定する前に、根抵当権の披担保債権の全部または一部が第三者に譲渡されると、それに伴って根抵当権も当然に第三者に移転するとされてきましたが、根抵当権の被担保債権元本の確定前における根抵当権の随伴性を否定しています。つまり、第三者は、元本の確定前、根抵当権によって担保される債権を取得したとしても、その第三者は根抵当権を取得することができません。したがって、移転した債権は、根抵当権によって担保される債権の範囲からはずれ、無担保の債権となります。もっとも、元本の確定前でも、根抵当権の被担保債権が、相続や合併によって包括的に移転したときは、それに伴って当然に根抵当権も移転します。このように原則として元本の確定前における根抵当権の随伴性を否定しているので、例えば第三者が、元本の確定前に債務者のため、あるいは債務者に代って弁済をした場合にも、第三者は根抵当権を取得することができません。したがって、従来は、元本の確定前に、保証人が、債務者に代って弁済した場合、当然に根抵当権を取得しうるものとされてきましたが、このようなことは認められないことになっています。

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第1に、保証人が債務者に代って弁済することによって、債務者に対して将来取得するであろう求償権を担保するために、あらかじめ債務者に抵当権を設定させることです。第2に、保証人が求償権を取得した場合に、その求償権を担保させるために、根抵当権者から根抵当権の一部譲渡を受けることです。この2つの方法をとれば、従来と同じように、求償潅を抵当権や根抵当権によって担保することができます。
元本の確定前に債務の引受がなされた場合、根抵当権者は引受人の債務につき、その根抵当権を行なうことができず。さらに元本の確定前に債権者または債務者の交替による更改がなされた場合にも、民法第518条の適用がなく、当事者がたとえ民法第518条により根抵当権を新債務に移すことを合意しても、その効力がありません。
以上は、元本の確定前におけることですが、その確定後は、一般原則従い、被担保債権元本が移転すれば、当然に根抵当権も随伴して移転し、第二者や保証人は、弁済によって、当然に根抵当権者に代位し。その根抵当権を行使することができることになります。
根抵当権者は、元本の確定前においては、根抵当権の譲渡や放棄または根抵当権の順位の譲渡や放棄はできません。ただし、元本確定前でも、根抵当権を他の債権の担保とすること、つまり、転抵当や根抵当権の質権設定については、これをすることができます。転抵当権が設定された場合、根抵当権の担保すべき元本の確定前においては、債務者は,転抵当権者の承諸を得ないでも自由に債権者に弁済することができ、しかも、弁済したことを当然に転抵当権者に対抗することができます。また、根抵当権者は、転抵当権者の承諾を要しないで、根抵当権の彼担保債権の範囲を変更することができます。これに反し、根抵当権の被担保債権元本の確定後においては、根抵当権者は、昔通の抵当権におけると同様に、根抵当権の譲渡もしくは放棄、または根抵当権の順位の譲渡もしくは放棄をすることができ、また、転抵当がなされた場合においては、転抵当権者の承諾を得ない限り、債務者は、元本はもちろん、利息や損害金の弁済をしても、これを転抵当権者に対抗することができません。
このように、根抵当権者は、根抵当権によって担保される債権の元本の確定前には、原則として同一の債務者に対する他の債権者の利益のため、根抵当権の譲渡や放棄または根抵当権の順位の譲渡や放棄をなすことができませんが、その代り、根抵当権設定者の承諾、つまり不動産所有者の承諾を得て、根抵当権を全部議受人に移転することができます。この根抵当権の移転とは、根抵当権の被担保債権あるいは基本取引契約上の地位から切り離された根抵当権だけの移転であり、その結果、譲渡当時、譲渡人たる従来の根抵当権者が有していた被担保債権は、無担保債権となります。一方、根抵当権の譲受人が、譲受当時有していた債権は根抵当権の譲受けによりすべての根抵当権によって担保される債権となるわけではなく、被担保債権として定められている範囲に属する債権だけが、譲り受けた根抵当権によって担保されることになるのです。そして、譲り受けた根抵当権の被担保債権の範囲にはいるものであれば、譲受前にすでに持っていた債権であろうと、譲受後に取得した債権であろうと、すべてこの根抵当権によって担保されることになります。また、根抵当権とともに、その被担保債権を譲り受けることも、もとより可能ですが、この場合、上記の被担保債権は、譲渡人と債務者との取引きによって生じた債権であって、譲受人と債務者との取引きによって生じた債権ではないため、当然、その根抵当権によって担保されるものとはならないため注意を要します。したがって、上記のような債権を、その根抵当権によって、譲渡後も引き続き担保させるには、譲り受けた債権を特定の債権として、その根抵当権で担保される債権とする旨の被担保債権の範囲の変更の合意を、譲受人と根抵当権設定者間でしなければなりません。

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