根抵当権

通常の抵当権は、設定のときに被担保債権が特定されており、その被担保債権が消滅すると抵当権も消滅してしまいます。これに反し、根抵当権は、被担保債権を特定せず、設定行為において定める一定の範囲に属する不特定の債権を、将来の確定期において一定の限度額まで担保するものであって、個々の具体的被担保債権の消滅によっては直ちに消滅することがないものです。根抵当権と将来の債権のための抵当権との差異は、後者が将来の特定の債権の担保であるのに対し、前者は、将来増減変更する一団の不特定の債権を一定限度まで担保するという点にあります。従来、根抵当権についての規定は、民法上なんら存在せず、ただ、判例によって認められてきたに過ぎなかったので、実際上、多大の不便が感じられ、これを成文化する要求が大きかった。そこでその声に応えて、昭和46年5月24日「民法の一部を改正する法律」が国会で成立し、昭和47年4月1日から施行されることになり、根抵当につき21か条にわたって規定が設けられるにいたりました。

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根抵当権設定契約は、根抵当権者と設定者との間で締結される諾成契約です。そして根抵当権を設定するためには、被担保債権の範囲を限定しなければなりませんが、その限定のため、次の4つの方法を定めました。
継続的取引きによって生じる債権。第1は被担保債権の範囲を、「債務者との特定の継続的取引きによって生じるもの」に限定する方法です。つまり根抵当権者と債務者との間で、具体的な継続的取引き契約を締結したうえで、その特定の継続的取引き契約に基づいで発生する債権を、被担保債権とするのです。
一定の種類の取引きより生じる債権。第2は被担保債権の範囲を、「債務者との一定の種類の取引きによって生じるもの」に限定する方法です。ここで、「一定の種類の取引き」とは、他の債権の発生原因と区別しうるように、その種類によって一定された取引きのことであり、例えば銀行取引き、商品売買取引き、運送取引き、売買取引き、金銭貸借取引き、特約店取引き等をいいます。これと第1の限定の方法との差異は、第1の方法の場合には、すでに具体的かつ特定の継続的取引契約が現実に締結されていなければならないのに反し、第2の方法の場合には、いまだ具体的な特定の取引契約が結ばれている必要はなく単に抽象的に取引きの種類さえ限定しておけばよい点です。その結果、根抵当権の披担保債権を限定するため、第1の方法を採用した場合、その特定の継続的取引契約が一旦解除されたうえ、再び同様の契約が締結されると、従来の根抵当権登記を抹消して、新しく根抵当権を設定し直すか、被担保債権の範囲を変更しなければならないのに対し、第2の方法によった場合には、具体的な取引契約が解消された後に、それと同様の契約が再び締結されたときでも、根抵当権を変更したり、新しく設定し直す必要がありません。
第2の方法によった場合、その根抵当権によって担保される債権は、根抵当権設定当時、発生していたものに限られず、その後、新しく取引きすることによって生じた債権も、取引きの種類が同一であれば当然に含まれます。また、銀行取引きによって生じた債権には、銀行取引契約から直接生じた債権、例えば手形貸付けによる債権、証書貸付けによる債権、手形割引きによる債権のみならず、銀行取引きの過程から通常生じることが予想される債権、例えば銀行が債権担保のために取得した抵当物件について、根抵当権設定者が締結した火災保険契約の保険料の立替払いをしたことによって生じる償還請求権なども含まれます。さらに商品売買取引きによって生じた債権には、商品売買契約そのものによって発生する売掛代金債権のみならず、取引きの通常の過程から生じる債務不履行に基づく損害賠償債権、立替金債権なども合まれます。
取引き以外の特定の原因に基づき生じる債権。第3の方法は特定の原因に基づき、債務者との間に継続して生じる債権に限定するものです。つまり、取引き以外の特定の原因に基づいて継続的に生じる債権に限定する方法です。ここで、取引き以外の特定の原因に基づいて継続的に生じる債権とは、例えば特定の工場の騒音、煤煙によって、近燐の住民が継続的に取得する不法行為に基づく損害賠償請求権や租税債権のようなものが考えられます。
手形、小切手上の請求権。第4の方法は手形上または小切手上の請求権に限定する方法です。手形上または小切手上の請求権は、一般的には債権者と債務者との継続的取引き、あるいは一定の種類の取引きから発生するのが普通であるため、ここでいう手形上または小切手上の請求権とは、上記のような取引きによって生じた請求権以外のものであり、例えば回り手形などによる請求権などが考えられます。上記のとおり、根抵当権の設定にあたっては、被担保債権の内容を限定しなければなりませんが、その内容は登記されることを要します。
根抵当権設定にあたっては、彼担保債権の極度額を定めなければなりません。そして根抵当権の極度額は、元本極度額ではなく、常に債権極度額によるべぎものとされています。したがって、根抵当権者は確定した元本および利息損害金等の全部について、極度額を限度として、優先弁済を受けることができるだけです。その結果、従来と異なり利息に関する定めを登記しなくても、根抵当権が担保する元本が確定したときに存在している利息や損害金は当然担保されるのみならず、元本が確定した後に生じた利息や損害金であっても、配当する際に現存しているものは、すべて優先弁済の対象になります。そして、この場合に根抵当権の被担保債権の合計額が、極度額を超えているときは、極度額に至るまで債権の弁済を受けることができますが、その際、個々の債権のうち、その債権について弁済を受けることになるかは、弁済充当に関する特約があればそれにより、特約がなければ、民法第489条ないし第491条の弁済充当に関する特約があればそれにより、特約がなければ民法第489条ないし第491条の弁済充当に関する現定にしたがうこととなります。

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