不動産抵当権実行手続

不動産抵当権は、通常、債務者が任意に弁済せず、破産宣告を受け確定した場合、債務者が死亡して相続人のない場合、次順位権者その他から競売の申立てがあった場合で、民事訴訟法645条第2項の添付申立の必要があると認めたときに実行します。抵当権設定後、その設定者が抵当地に建物を築造したときは、抵当権者は、土地とともに建物をも競売することができるため、貸付当時は更地でしたが、現在建物が存する場合には、登記簿によって建物が設定者の所有か否かを調査し、建物に対する抵当権の在否にかかわらず、なるべく土地とともに競売の申立てをすべきです。競売の申立てには、土地建物登記簿騰本および公租公課証明書を準備し、内容証明郵便により、債務者及び保証人に対して履行を請求し、割賦弁済の期限喪失約款があるときは、その期限の利益を失わしめて全額を請求します。

スポンサーリンク

お金を借りる!

抵当不動産について所有権、地上権又は永小作権を取得した第三者に対しても、同じく配達証明付内容証明郵便により、抵当権の実行を通知します。この通知は仮登記をしたにすぎない第三取得者に対してもなすべぎです。その後に、第三取得者から、さらに権利を取得した第三者に対しては通知を要しません。第三取得者がその通知後1カ月以内に、抵当権滌除の通知をしたときは、増加競売の手続により、その通知がないときは通常の競売手続を行ないます。
抵当権の登記後に登記した短期賃貸借がある場合に、それが抵当権者を著しく害するおそれがあるときは、裁判所に対してその解除方を請求します。それには、形成の訴により、賃貸人及び賃借人の双方を共同被告とすることが必要です。なお、この際、解除とともに、賃借権設定登記の抹消手続を求めるべきです。
抵当物所有者が、相続の開始、法人の合併、法人の名称、商号、所在地の変更、抵当不動産の地目変更、分合がなされたのにかかわらず、その登記を怠っているときは、まず、抵当権者において、債務者に代位してその登記を申請して、その登記簿謄本の下付を受けて、裁判所に提出します。
競売の申立には、書面に、債権者、債務者および所有者の表示、競売に付すべき不動産の表示、競売の原因たる事実を記載して、前記添付書類を添付して裁判所に提出します。なお、その際に短期賃貸借の存否方の取調申請書を提出するのが普通です。
裁判所は、原則として不動産所在地を管轄する地方裁判所です。
抵当物件が数個であって、しかもそれらが相合して一個の邸宅等の価値単位を構成し、それを個々に切離しては、価格が低落する場合には、一括競売を申し立てることを忘れてはなりません。一括競売をするか否かは、裁判所が裁量で決するので一括競売をするについてはかならずしも利害関係人の同意を要しません。
抵当権設定後に、上記建物について、処分禁止の仮処分があっても、抵当権の実行を妨げません。もし実行しようとする抵当権が未登記である場合には、ただちに抵当権設定仮登記仮処分をして権利の保全をしておかないと、競売開始決定が登記されるまでに抵当不動産について、正当な利害関係を有するに至った第三者に対抗できないため、まず、仮登記仮処分手続をなしておくべきです。
裁判所は競売開始決定をなし、これを目的物の所有者に通知し、これとともに、競売期日及び競落期日を定めてこれを公告し、利害関係人に通知します。裁判所は鑑定人の評価により、最低競売価額を決定します。そこで抵当権者は、裁判所について、この最低競売値額を調査した上、必要な登録免許税等を負担してもなお他日転売すれば、競売申立債権の損失を補填しうると認めたときは、限度を定めて競売の申立をすることにして、その限度の1割に相当する現金を持参して、競売場所に赴きます。ただ債権者としては、なるべく他に買手を求めて、他人に競落させた方が無難です。
競売期日になると、執行官は競売価格の申出を催告し、これより満1時間内に競買を申立てた競買人のうち、最高競買価額を申立てた競買人の氏名およびその価額を呼上げて、競売を終了します。
裁判所は、競売期日より7日以内に裁判所において、競落期日を開き競落の許可を決定します。競落人が競売代価を完済すると、競落人は目的物の権利を取得します。かくて、裁判所は競買人が支払った代価中より、競売費用を控除した残額のうちから、抵当権者に弁済するのです。
競落人の権利と目的物の上に存した用益権との関係は、抵当権設定の時を標準として決し、抵当権設定の際すでに、対抗力を備えた用益権は競落人に対抗し得ますが、それ以後のものは対抗できません。ただし、法定地上権および、短期賃貸借の場合は例外となります。競売は、競売期日までは申立人の自由に、競売期日後競落期日までは競買人の同意ある限り取下げることができますが、競落許可決定後でも利害関係人の同意があれば取下げることができます。

お金を借りる!

消費貸借/ 消費貸借の効力/ 金銭消費貸借の機能/ 金銭消費貸借の成立/ 手形貸付と手形割引/ 保証債務/ 保証債務の内容/ 連帯保証の意義/ 共同保証と連帯債務/ 連帯債務の効力/ 根保証の意義/ 手形保証と手形裏書/ 抵当権の意義/ 連帯債務者と保証人/ 抵当権の効力と次順位の昇格/ 担保の変動/ 不動産抵当権実行手続/ 不動産の意義と不動産抵当/ 抵当権の効力/ 不動産抵当権設定登記/ 根抵当権/ 被担保債権元本の確定/ 根抵当権の随伴性/ 相続合併と根抵当権/ 根抵当権の一部譲渡と準共有/ 工場抵当/ 工場抵当権設定手続/ 漁業財団抵当/ 船舶抵当権/ 質権/ 質権者の権利/ 動産質/