担保の変動

担保物の提供者が、共同担保物件の一部の解除を申請した場合には、貸主は残りの共同担保物件の価額を調査し、その価額が貸付債権を充分債うに足ると認めたときは、無条件で解除を認め、もしそうでないときは、解除担保物の時価相当額を弁済せしめた上で、解除すべきです。 その場合に、解除担保物の時価相当額を弁済させないで解除したために、後になってその残りの共同担保物件の物上保証人、第三取得者、後順位抵当権者、借主の保証人または連帯債務者等が貸主に借主の債務額を弁済して、法定代位の規定により、担保権を行使した場合に、充分に償還を受けられないときは、それらの者は、その償還を受けられない限度において貸主に対する責任を免れることとなるので、一部解除に際し、必ずそれら利害関係人の承諾を求めておくべきです。貸付後、担保物の価格が著しく滅少し、または借主の責に帰すべき事由、あるいは不可抗力により、担保物が毀滅減少したときは、借主より追加担保を徴すべきです。このことは貸主として当然要求できる権利ではないので、貸何契約に際し、借主にその義務を課しておくべきです。ことに、借主がその責により担保物を毀滅または滅少せしめたときは、借主は弁済の期限の利益を失わしめる代りに、追加担保を要求した方が貸主にとって得策です。

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借主が、何らかの事情により、担保物の差換を要求してきたときは、既存担保と新担保の価格、執行の難易等を考慮に入れた上で決すべきであるが、なお旧担保物の一部解除に際しては残存共同担保物の利害関係人より、解除の承諸書を取るようにすべきです。
貸主甲が貸金50万円について1番抵当を、貸主乙が貸金30万円について2香抵当を、貸主丙が貸金70万円について3番抵当をそれぞれ借主の同一不動産の上に有し、貸主丁は貸金40万円を有するも、抵当権を有しないとし、目的不動産の競売価格が仮に100万円とするとして、この場合抵当権者である甲が、無担保権者である丁に対して抵当権を譲渡すると、丁は甲の被担保債権の範囲内で自己の債権について抵当権を取得するのであって、丁は金40万円全額について、1番抵当権を取得し、甲は無担保となり乙丙には影響はありません。
抵当権者甲が無担保権者丁のために抵当権を放棄すると、甲は丁に対する関係では優先権を有しないこととなり、50万円を,甲丁の債権額の比である50対40に分配します。乙丙には影響はありません。
先順位の抵当権者甲が、後順位の抵当権者丙に対して抵当権の順位を譲渡すると、甲丙の間では、甲は丙の後順位となり、競売の結果、本来甲50万円、乙30万円、丙20万円の配当であるところ、乙30万円、甲丙は合計70万円の中、丙のみ70万円の配当を受け、甲は無配当となります。
先順位の抵当権者甲が、後順仕の抵当権者丙のために、抵当権の順位を放棄すると、甲丙は同順位となり、甲丙の分配額合計70万円を、甲丙各35万円ずつ平等に配当します。これら放棄または処分は、金融機関が同一不動産を担保に、数個の貸金債権を有する場合に、先順位の抵当債権の残額が滅少したときに,後順位の自己の貸金のために抵当権の順位の譲渡や放棄をして、後順位の貸金の担保を確実にする必要や、ある銀行が債務者の不動産上に1番抵当権を有するとき、その銀行を含めた数銀行が協調融資をする場合に、その銀行をして抵当権の順位を譲渡せしめることにより、協調融資金を1番抵当権によって担保せしめることができるのであって、企業資金の調達のために、充分利用すべきです。
借主が他の第三者から強制執行を受けたときは、貸主はただちに、この債権の弁済期が到来しているときは、配当加入の手続をとらなければなりません。そこで第三者が強制執行をしたときに、すぐさま配当加入ができるように、あらかじめ貸付契約に際し、借主が他より強制執行を受けたときは、直ちに期限の利益を失い弁済期が到来する旨の約款を入れておくべきです。ただし抵当貸付の場合には、他の債権者の要求により、配当要求によって受取る金額の供託を命じられることがあります。
抵当物件又は質取物件が、他の債権者から競売の申立てを受けたときは、貸主は、直ちに貸金額、利息、遅延利息等を届け出て、その競落代金より弁済期到来済のものについては優先弁済を受け、弁済期未到来のものについては、供託してもらうべきです。
抵当権または質権の対象である不動産の附加物又は従物が、動産として強制執行の対象となったときは、抵当権者、質権者である貸主は、第三者異譲の訴によりこれを阻止します。しかし、この訴訟進行中に、執行が完了してしまっては困るので、直ちに強制執行停止の申請をして、停止決定を受け、これを執行機関に提出しなければなりません。
物的担保の目的に対して租税滞納処分が行なわれることは今日はなはだ多いく、国税は原則として、すべての公課その他の債権に優先して徴取しますが、質権や抵当権が国税の法定納期限等以前に設定されているときは、その国税に優先します。その優先額の限度はその質権者、抵当権者がその国税にかかる差押え、交付要求の通知を受けたときにおける債権額を限度とします。
質権と国税との優劣を画する時期は、原則として法定納期限ですが、その例外となるべき時期も定められています。これらを含めて法定納期限等といいます。質権が法定納期限等以前に設定されている場合には、その質権によって担保される債権は国税に優先することとなるため、その法定納期限等の当日において設定された質権によって担保される債権もその国税に優先します。

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